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【本日のニュース・記事】
■企業業績悪化、商品値上げ、消費減退…「悪い円安」が日本経済を襲う
週刊ポスト 2021/12/8
https://www.moneypost.jp/858236
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原油価格の高騰もあって、ガソリン代や日用品が値上がりしている。
賃金が上がらないなかで、物価が上昇すれば生活は苦しくなる一方だが、はたして、今後の日本経済はどうなるのか。
経営コンサルタントの大前研一氏が解説する。
* * *
本稿執筆時点で、外国為替市場の円相場は1ドル=113円台後半の円安ドル高で推移している。
日経平均株価は3万円を割り込んだままで、日本国債の値下がりも進み、日本は円安・株安・債券安の「トリプル安」に見舞われている。
その一方で、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んで世界的に経済活動が再開したため、原油の需要が急拡大して原油価格が高騰し、欧米ではインフレ傾向が強い。
日本も円安が重なってエネルギー価格や原材料などの輸入品価格が上昇し、インフレになる可能性が高まっている。
周知の通り、日本銀行は2013年1月から2%の物価上昇率目標を実現するために大規模な金融緩和を続けているわけだが、これから怖いのは欧米との相対的な金利差でさらに円安が進み、インフレに歯止めがかからなくなることだ。
しかも、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)が量的緩和の規模を縮小して2022年からゼロ金利を解除(利上げ)する方針を明らかにした。
アメリカの金利上昇は世界的な金利上昇につながるので、日本も利上げに踏み切らざるを得なくなるだろう。
金利上昇は、過去最高の1992兆円(2021年6月末時点)に膨らんでいる個人金融資産を消費に出動させるためには追い風となる。
しかし、世界の資金が米ドルに還流してアメリカのインフレが加速すれば、日本も国内需給とは関係なく、アメリカに誘発されたインフレになる。
それがコントロール不能な状況に陥ったら、国債を大量に抱え込んでいる日銀がインプロージョン(内部爆発)を起こしてジ・エンドだ。
その時は、公的年金積立金の50%を国内の債券と株式で運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も道連れである。
そもそも安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」とそれに呼応した日銀の黒田東彦総裁による異次元金融緩和の「アベクロバズーカ」は、円安とインフレを誘導するためだった。
つまり、円安で輸出産業が潤えば賃金が上がり、景気が良くなるという論理だった。
しかし、アベノミクスのスタートから9年が経過しても、そうはなっていない。
結果的に今は原材料の輸入コスト高による企業の業績悪化、商品の値上がり、家計へのシワ寄せ、消費減退など、円安のメリットよりデメリットのほうが大きい「悪い円安」になっている。
しかも、日本の賃金は20年以上にわたってほとんど上がっていない。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、日本の一般労働者の2020年の平均月給は30万7700円で、2001年からわずか1900円増えたにすぎない。
また、OECD(経済協力開発機構)の調査では、2020年の購買力平価ベースの平均年収は、日本が35か国中22位の3万8515ドル、韓国が19位の4万1960ドル、OECD平均が4万9165ドル、1位のアメリカが6万9392ドルである。
日本の平均年収は、韓国より約40万円、OECD平均より約120万円、アメリカより約350万円も低くなってしまったのだ。
安倍元首相は、在任中にアベノミクスの成果を強調して「今世紀に入って最も高い水準の賃上げを実現している」と繰り返し喧伝していた。
それに対して私は本連載で賃金の国際比較を示して何度も反論してきたが、結局、安倍元首相は自らの非を認めていない。
岸田文雄首相も基本的にアベノミクスを継承する方針だから、結果は同じだろう。
現在の円安は日本の国力が衰えていることの象徴である。
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企業業績悪化、商品値上げ、消費減退…「悪い円安」が日本経済を襲う
週刊ポスト 2021/12/8
https://www.moneypost.jp/858236
本日は4つの記事をご紹介いたします。
2つ目の記事はこちらです。
■家計負担年4万円増!「賃金増えない物価上昇」招いたアベノミクスの功罪
女性自身 2022/2/24
https://jisin.jp/life/living/2068465/
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内閣府は7日、国内経済の現状報告書「日本経済2021-2022」を発表した。
報告書によると、食料品の値上げや原油の高騰に伴うエネルギー価格の上昇で、令和3年の家計負担が前年比2万7000~3万9000円増える試算になるという。
年間約4万円の支出増を引き起こす“値上がり”はなぜ発生しているのだろうか。
「昨今の値上がりの大きな要因としては、石油など輸入している原材料の高騰があります」
こう話すのは、経済学者で法政大学教授の小黒一正さんだ。
たとえば輸入品、国内品とあらゆる品目の物価に関わる原油価格は、昨今、急上昇している。
「現在の原油の価格は1バレル90ドル前後。じつは、この価格自体は過去に比べればそれほど高いものではありません。’08年のリーマンショックのときには、原油価格は一時、150ドル近くまで上昇しました。さらに、’11~’14年の原油価格も100ドルほどあったのです」
しかし、当時の原油の高騰は、昨今のような“値上げ”にはつながらなかった。なぜなのか?
「当時は、為替相場が円高だったため、原油価格の上昇を吸収できていたのです。’12年の1月ごろまでは、1ドル80円くらいのときもありました。それが今は、円安により1ドルが116円ほどになってしまっているんです」
・円安が物価上昇を加速させている
つまり、現在の物価上昇には原油価格の上昇に加え、円安も関係しているというのだ。
次は、原油価格と為替レートが、日本円で石油を買うときにどれほどの影響を与えるかを試算したもの。
【原材料の高騰×円安→物価上昇!】
〈2020年〉1バレル:39ドル×1ドル:107円→1バレル:4173円
〈2022年〉1バレル:83ドル×1ドル:115円→1バレル:9545円
※2022年は原油価格は1月の価格、為替は2月9日の相場
原油価格が近年で最も低かった’20年当時と現在を比較すると、’20年には1バレルが4173円で購入できていたのに、現在では9545円、なんと2年前の2倍以上も支払わなければ買えないことになるのだ。
原油だけでなく、さまざまな原材料が高騰する現状に円安が追い打ちをかけることで、物の製造コストが著しく上がっている。
その結果、ありとあらゆるものが値上げされる事態に陥っているのだ。
このように、輸入品の価格アップに拍車をかける現在の円安の原因は、アベノミクスにあるという。
’13年に安倍晋三首相(当時)が発表したアベノミクスでは、日銀が市場に大量のお金を投入する大規模な金融緩和が行われた。
その結果、円の価値が下がって、リーマンショック以降の円高が円安へと移行。
アベノミクスを継承した岸田政権下では、円安と原料の高騰が重なり、物価上昇が加速しているのだ。
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家計負担年4万円増!「賃金増えない物価上昇」招いたアベノミクスの功罪
女性自身 2022/2/24
https://jisin.jp/life/living/2068465/
3つ目の記事はこちらです。
■円安・低成長「日本」とウォン高・高成長「韓国」の差~「下がり続ける円」が本当に意味するところ~
東洋経済 2022/02/09 リチャード・カッツ
https://toyokeizai.net/articles/-/509838
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足を怪我したら、松葉杖が必要になる。
しかし、松葉杖に長期間頼りすぎると、筋肉が萎縮してしまうだけだ。
これは、日本の状況、そして円安の状況に関しても、同じことだ。
安倍晋三氏と黒田東彦氏がそれぞれ首相と日本銀行総裁に就任してから、日本政府は円安に誘導する政策を継続してきた。
現在、円は「実質」の価値でいうと、ここ半世紀で最も価値が下がっており、長期的な平均と比較すると3分の1近く低くなっている。
・今の円安はいいのか悪いのか
今後さらに円安が進むと広く考えられており、それがいいことであるのかどうか、日本銀行と新たな岸田政権との間で意見の相違が出てきている。
黒田総裁は、食品、エネルギー、衣服、および靴などの輸入に大きく頼る品目の「物価が円安によって上昇し、家計所得にさらに負の影響が出る可能性がある」と認めつつも、円安は日本にとって「差し引きでプラス」であると主張している。
1月18日の記者会見では、「悪い円安というようなもの」はないとまで論じた。
これに対して、鈴木俊一財務相は、1月7日、「為替の安定」が必要であると強調し、市場に対して円安が過度な速度で過度な水準まで進んでいるという見方を伝えるという、「口頭での介入」を行った。
日用品の価格が上昇することで、今年の夏の参議院選挙を前にして、岸田文雄首相の支持率に悪影響が出る可能性はゼロではない。
国内総生産(GDP)の数字だけを気にしているなら、あるいは原因のいかんにかかわらず緩やかなインフレはいいことだと考えているなら、黒田総裁が正しいように見えるかもしれない。
筋肉が萎縮した怪我人は、なおさら松葉杖が必要になる、というのとまったく同じロジックだ。
しかし、怪我人が松葉杖不要の身体を取り戻すのに本当に必要なのは、理学療法だ。
それと同じように、日本には経済再編が必要なのだ。
円安は、国内の弱さ、そして海外での競争力の低下を反映している。
以下に詳しく述べる通り、韓国はウォン高となっているにもかかわらず、日本より速いペースで成長することに成功している。
・戦後最長となる消費の低迷
安倍首相と黒田総裁の時代、国内の需要は極めて低迷しており、その中で日本はわずかな成長を実現したものの、その成長も大部分が財政支出と純輸出額(輸出額から輸入額を差し引いたもの)の上昇に依存している状態だった。
2回の増税と輸入に大きく頼る品目の物価上昇によって実質の(物価調整後の)家計所得が押し下げられていたため、このような人工的な刺激が必要な経済状態だったのだ。
その結果、安倍首相と黒田総裁の7年間で、個人消費は実際には1%低下。
これほど長期間にわたる低下は戦後初めてのことだった。
(中略)
生活水準の向上を伴わない競争力は、本当の競争力ではないのだ。
安倍首相と黒田総裁は就任当時、2%のインフレ率が達成できれば万事上手く行くと、そして黒田総裁ならその目標をわずか2年で達成できるだろうと、確信していた。
しかし、その目標には近づくことすらできなかった。
さらに悪いことに、日本銀行が実際に達成できたインフレのほとんどは、円安と2回の増税の結果に過ぎなかった。
アベノミクスが国内経済を強化してインフレを実現していたのなら、それは朗報となっていただろう。
しかし、輸入品の価格上昇によって消費者物価指数が上がっている状況では、メリットよりデメリットの方が多い。
円安になれば、日本の輸出品の値段が下がると同時に、輸入品の値段は上がる。
消費者支出の40%近くは、エネルギー、衣服、靴、および食品など、輸入に大きく頼る品目への支出だ(カロリーで計算すれば、日本の食料の60%は輸入品なのだ)。
2012年から2021年で、これらの品目の価格は、消費増税を無視しても12%上昇している。
それに対して、消費者支出の残り60%を占める輸入に大きく頼らない品目への支出は、同じ期間で0.7%増という、ゼロ同然の増加にとどまった。
つまり、消費税を除く消費者物価指数の上昇全体の90%を超える部分は、輸入に大きく頼る品目の値段の上昇によるものだったのだ。
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円安・低成長「日本」とウォン高・高成長「韓国」の差~「下がり続ける円」が本当に意味するところ~
東洋経済 2022/02/09 リチャード・カッツ
https://toyokeizai.net/articles/-/509838
最後、4つ目の記事はこちらです。
■「お仲間」は公金で花見饗応の一方、国民は円安と消費税で貧しくなっただけ
ハーバー・ビジネス・オンライン 2019.11.22 <明石順平氏>
https://hbol.jp/pc/206978/?cx_clicks_art_mdl=3_title
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・円の価値を落としただけ
―― 安倍政権はアベノミクスと称する経済政策を7年にわたって行ってきました。アベノミクスをどう評価していますか。
明石順平氏(以下、明石): 端的に言えば円の価値を落としただけです。
それに尽きます。
国債を爆買いして円の供給を増やした結果、市場は円売りに動き、円安が進行しました。
製造業は円安によって得したかもしれませんが、物価が上昇し、それに賃金の上昇が追いついていないため、消費は冷え込みました。
そこに消費増税が重なったため、国民の生活は非常に苦しくなってしまったのです。
これは賃金と物価の推移を見れば明らかです。
アベノミクスから5年で名目賃金は1・5%しか伸びていません。
その一方で物価は6%も上がっています。
日銀の試算によると、消費増税による物価上昇は2%なので、残る4%はアベノミクスがもたらした円安の影響です。
安倍政権は増税+アベノミクスによって物価を無理やり上げましたが、賃金が1・5%しか伸びなかったため、実質賃金は4・2%も下がってしまったのです。
これはアベノミクス前の水準に遠く及びません。
もし民主党政権が続いていれば、少なくとも国民が物価高で苦しむことはなかったでしょう。
(中略)
・アベノミクスの本質は「かさ上げ」
―― 安倍総理はアベノミクスによって有効求人倍率が上昇し、失業率が低下したと述べています。
明石:有効求人倍率の上昇も失業率の低下も、ともにアベノミクス前から始まっており、アベノミクスとは関係ありません。
アベノミクス以降もずっと改善傾向が続いているのは、金融危機が発生していないからです。
数字が悪化した時期を見ると、1991年のバブル崩壊以降、雇用はどんどん悪化していき、1997年末に発生した金融危機によってさらに悪化します。
2003年あたりから徐々に良くなりますが、2008年のリーマンショックで再び悪化します。
つまり、アベノミクス以降は金融危機が発生していないから雇用の改善が継続したにすぎないのです。
そのため、再び金融危機が起これば、雇用はまた悪化するでしょう。
しかし、失業率の急激な上昇はある程度抑え込まれるかもしれません。
というのも、日本ではとにかく高齢者が増えており、医療・福祉分野の人材不足が深刻になっているからです。
失業者はそこに吸収される可能性があります。
―― 賃上げ2%を実現したというのも、安倍総理の口癖です。
明石:安倍総理の言う賃上げは春闘における賃上げ率のことです。
そのため、当然のことながら春闘に参加した組合員しか対象になっていません。
安倍総理が根拠としている連合のデータを見ると、調査対象となった労働者の割合は雇用者全体の約5%程度にすぎません。
しかも、この賃上げ上昇率は名目値です。実質賃金上昇率を見ると、アベノミクス以降は民主党時代よりも圧倒的に低いのです。
―― とすれば、アベノミクスの効果があったと言えるのは株価くらいでしょうか。
明石:確かに株価は上昇しましたが、これは異次元の金融緩和と日銀のETF(上場投資信託)購入、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の株式投資によるものです。
要するに日銀と年金によって株価をかさ上げしているだけです。
もし日銀とGPIFが株価を買い支えることをやめれば、株価は暴落してしまうので、もはや後には引けません。
GDPもかさ上げされています。
野党はGDPかさ上げ疑惑を国会で追及し、私も『国家の統計破壊』(インターナショナル新書)などで批判しましたが、2016年12月に内閣府がGDPの算出方法を変更し、それにともない1994年以降のGDPをすべて改定したことで、GDPが大幅にかさ上げされたのです。
そういう意味では、アベノミクスの本質は「かさ上げ」です。
アベノミクスはシークレットブーツを履きながら「私は身長が伸びた」と言っているのと変わらないのです。
私たちはそのことをしっかりと認識する必要があります。(聞き手・構成 中村友哉)
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「お仲間」は公金で花見饗応の一方、国民は円安と消費税で貧しくなっただけ<明石順平氏>
ハーバー・ビジネス・オンライン 2019.11.22
https://hbol.jp/pc/206978/?cx_clicks_art_mdl=3_title
食品から生活必需品に至るまで値上げが止まらない物価上昇。
その背景にあるのが円安だと言われています。
円安は、その名の如く、日本の「円」が安くなっている状態です。
円安による「物価上昇」は、国民の生活にダイレクトに悪影響を及ぼします。
食料品・生活必需品など、特に年金生活者や一人親家庭など貧困層への悪影響は甚大です。
大きなデメリットは輸入品の価格上昇です。
金額的に大きいのは、やはり「原油」「ガス」などのエネルギー関係です。
私たちの身近なところでは、ガソリンスタンドの価格ではないでしょうか。
運送業界にも影響は多大かもしれません。
現在、日本の税金を投入してガソリン価格を抑えています。
ただ。
税金を使って一部の事業者に支援し続ける状況は本当に適切なのでしょうか。
一部の事業者にのみ、税金を使用する構造は「癒着」にもつながりかねません。
石油卸売り事業者は殆どが大企業。
ごく一部への事業者への税金投入とも言えます。
そのガソリン価格抑制のための税金は、いつ、どのくらい投入しているのか、適宜公表すべきかもしれません。
これはコロナワクチンにも言えることかもしれません。
海外製コロナワクチンは、いつ、どのくらい税金を投入しているのか、適宜公表すべきではないでしょうか。
国内外問わずに、一部の事業者へ多額の税金を投入するならば、適宜、その金額を明確に公表し、メディアを通して報道すべきかもしれません。
何より、このような一部の事業者への不透明な支援では「政治的癒着」だと思われてしまう可能性があります。
そのような一部の事業者への税金投入ではなく、より多くの国民へのダイレクトな還元が必要かもしれません。
「給付金」でもいいですし、「減税」でも負担は軽減できるはずです。
例えば、ガソリン税(トリガー条項)、例えば、消費税、などなど。
ガソリン価格策は、もっと、私たちの生活に近いところでも十分可能なはずです。
一部の事業者にのみ、税金を使用する構造は、改めて見直す必要があるのかもしれません。
給与が上がらない不況下での物価高。
多くのものが値上げする背景にあるのは、エネルギー関連に限りません。
今や多くの国から、多種多様なものを輸入する日本。
鉄鋼やレアメタル、あらゆる輸入する素材にも「円安」は影響します。
例えば、自動車産業や電器産業。
製造業を強みとする日本、半導体も含めて、多くの素材や部品を輸入しています。
これら輸入する物品はすべて「円安」によって輸入価格が上昇します。
製品の「輸送費」もガソリン高で上昇してしまいます。
「悪い円安」が、今の日本を苦しめている、とも言えそうです。
では、どうすればいいのでしょうか。
どのようにすれば、国民の負担を軽減できるのでしょうか。
今の円安が大きく進んだ要因の一つが「アベノミクス」とも言われています。
2013年4月、日本銀行総裁に、安倍元首相との関係性が強い黒田東彦氏が就任。
2013年から市場に大量のお金を投入する大規模な金融緩和が行われています。
国債を異例の規模で買い入れる異次元の金融緩和によって円の価値が下がり「円安」に陥ってしまいました。
一時的に株式市場の株価は上昇しましたが、その後株式市場は低迷。
ご存知、株式市場は変動します。
上昇したり、下降したり。
金融操作は、単なるマネーゲームです。
一時的に株価が上がっても、その企業で働く社員の給与は殆ど変化しません。
株価は上下するため、株価が一時的に上がったからと言って給与ベースアップには殆ど至りません。
一時的なマネーゲームで得する人たちは「投資家」です。
投資家と言っても、日本人とは限りません。
現在大きな影響力を持っているのは欧米の投資ファンドや超富裕層ばかり。
株価を、個人所得に転換できた日本人はどの程度いたのでしょうか。
つまり、日本銀行黒田総裁とアベノミクスがもたらした金融緩和は「マネーゲーム」と「円安」をもたらした、とも言えるのかもしれません。
今、政府と日銀がすべき政策は、海外投資家向けのマネーゲームではない筈です。
必要なのは、日本国内へのダイレクトな経済刺激策。
生活する一人一人、街の商店街を活性化する地域経済へのダイレクトな還元策ではないでしょうか。
日本経済や地域経済への資金還元がないから賃金が上がらない、とも言えます。
とはいいつつも、企業による給与アップはコロナ不況で難しい環境でもあります。
特に疲弊した中小企業が業績悪化のまま、給与アップには応じられません。
大企業も、まん延防止や緊急事態で業績悪化した法人も少なくありません。
パンデミックによる「政府の外出制限」で傷んだ日本経済。
落ち込んだ民間企業による賃金アップを要求するのではなく。
官製不況こそ、政府による一律給付金などの経済活性化策で取り返すべきではないでしょうか。
来年2023年4月、日本銀行総裁黒田氏の任期を迎えます。
日本銀行総裁と政権との深い関係性。
2013年から続いた「円安」。
黒田総裁の「アベノミクス」10年間、日本経済は好転したのでしょうか。
私たちの生活は改善したのでしょうか。
海外富裕層などの投資家への還元と、私たちの生活への還元。
「外圧」も少なからずあったのかもしれません。
政府と日本銀行はどちらを優先するべきなのでしょうか。
7月に国政選挙、参議院選挙があります。
この結果次第では、日本銀行総裁の人選にも大きな影響があります。
私たちは、これまでの10年間と同じ日本経済を繰り返すべきなのでしょうか。
それとも、今までの「円安」経済政策とは違う、新たな日本経済を見出すのでしょうか。
私たちの生活、私たちの地域、豊かな地域経済を実現するために、今、私たちの「決断」が迫られているのかもしれません。
【参考】
■《緊急特集》日本経済が陥った「恐怖の円安」 輸出は伸びずインフレだけが進む=寺島実郎
エコノミスト 2022年3月7日
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20220315/se1/00m/020/021000c
■アベノミクスの「真実」…次の政権に「円安」を期待しないほうがいいワケ
週刊現代 2020.09.08 唐鎌大輔 みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75429
■アベノミクスの大罪。「円安は国益」というインチキ金融政策3つのウソ
まぐまぐニュース 2021.09.22
https://www.mag2.com/p/news/512098
■安倍首相、国民はアベノミクスを認めてません
東洋経済 2013/07/26 ぐっちーさん : 投資銀行家
https://toyokeizai.net/articles/-/16267
■日本人はなぜ「円安貧乏」になったのか
BIGLOBEニュース 2021年10月29日
https://news.biglobe.ne.jp/economy/1029/jbp_211029_2614345997.html
■安倍政権、「日銀と政府」の危なすぎる関係
東洋経済 2018/04/05
https://toyokeizai.net/articles/-/215328
■アベノミクス失敗の本質と新政権がすべきこと
東洋経済 2020/09/11
https://toyokeizai.net/articles/-/374735
■日銀、デフレ脱却の完全失敗へ…経済失速の「戦犯」黒田総裁
Business Journal 2018.02.24
https://biz-journal.jp/2018/02/post_22453.html
■アベノミクスで経済が破壊されても真相は報じられない理由
日刊ゲンダイ 2015/05/03
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159524
■円安は「後退する日本」の象徴なのか、浮上する不都合な真実=佐々木融氏
reuters(ロイター通信)2021年7月26日 佐々木融(JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長)
https://jp.reuters.com/article/column-toru-sasaki-idJPKBN2EW02C
■日本円の購買力が1970年代に逆戻りしてしまったことの意味とは
・いまの円の購買力は90年代の半分以下
「2013年からのアベノミクスの異次元緩和では、市中から大量の国債を購入し、利回りが低下。このため、円安が進行した」
週刊現代 2021/9/12
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/87089
■官製不況(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
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官製不況(かんせいふきょう)とは、公権力による法律や行政規制等の作為、または不作為が、特定の業種または国全体の経済に悪影響を及ぼし、意図的に企業の業績の悪化や景気低迷、不況を生じさせること。「官」による不況。政策目的達成のための手段が問題になることが多い。近年では、消費者保護や法令順守の重視を目的とした法律や行政規制の改正等がきっかけとなっていることから、「コンプライアンス不況」とも呼ばれる。
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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%98%E8%A3%BD%E4%B8%8D%E6%B3%81
■日銀金融緩和で刷られた円の行き先が日本企業でも日本国民でもないカラクリ
(Dr.苫米地 2016年9月15日)TOKYO MXバラいろダンディ