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日本マイクロソフト元代表・インスパイヤ創業者、成毛眞:脳の中の新しい「回路」とは?

脳の中の新しい「回路」とは?

 

成毛眞/日本マイクロソフト元代表・インスパイヤ創業者

 

 

私の読書のスタンスは、「面白ければいいじゃないか」というものです。

読んだことを全部忘れてしまっても構わない。

ただ、さまざまな本を読んで脳が刺激を受けることで、脳の中に新しい「回路」ができる。

その結果、自分なりのものの考え方、生き方ができるようになる。

意外なもの同士を組み合わせ、まったく新しいアイデアも生まれてくる。

それが、私の考える「教養のための読書」です。

 

「どんな本を読み、どんな教養を身につけるか」は、他との差別化を図る最大の手段です。

読まないのは論外として、ベストセラーだけ読むというのでは差別化も図れません。

同時並行と多読で、ぜひあなたの頭に「回路」を作ってください。

 

 

成毛眞とは?

 

 

成毛眞。

北海道札幌市出身。

 

北海道札幌西高等学校入学。

北海道札幌西高等学校時代は執行部生徒会長として制服廃止を実現。

 

1979年中央大学商学部卒業。

自動車部品メーカー、アスキーなどを経て1986年にマイクロソフト株式会社・日本法人入社。

 

1991年よりマイクロソフト株式会社・日本法人代表取締役社長に就任。

2000年に退社後、同年5月に投資コンサルティング会社「インスパイア」を設立。

 

HONZ代表、スルガ銀行株式会社、スクウェア・エニックスの社外取締役や、様々なベンチャー企業の取締役・顧問などを兼職、早稲田大学客員教授も務める。

 

 

厳選!成毛眞の珠玉名言

 

 

「目標を立てるな!」。若いビジネスマンに、私が一貫して言い続けていること。目標はいらない。持たなくていい。1度目標を持てば、人生を縛られ、可能性を取りこぼす。

 

 

趣味選びの一番の基準は、好きなことをすること。好きでなければ、三千時間も投じられません。急に好きなことなんて見つかりませんから、まずは色々と試してみましょう。ただ、好きなことには、集中して時間を投下すること。そうすれば、好きなことだけしてお金を稼ぐ、所ジョージさん的な生き方ができるかもしれませんよ。

 

 

読書において真に重要なのは、本の内容を頭に入れることではありません。その本を読んだことで精神的な衝撃を受け、自分の内部でエモーショナルな組み換えが始まることです。そうした体験は、人を導いたり、創造的な仕事をする力につながります。

 

 

要は、シンプルにすること。グローバル化の拠点が米国なら、日本の担当者は米国の担当者と直接やり取りするのが一番ムダがない。

 

 

人生を不幸にする旧来の価値観の中でも最たる例は、「本流」にこだわること。具体的にいえば、大企業・親会社・本社にいたいと願い、中小企業・子会社・支社にいることを傍流、負け犬と考えることです。しかし、稼ぎ続けられる自分になるという観点から考えれば、中小企業や子会社などの傍流で働くことは、むしろチャンスだと思います。そこでは社員数が少ないので、40代にもなれば幹部や部門長のような「一国の主」のようなポジションを任されるはず。そこで親会社やワンマン社長のイエスマンになるのではなく、その仕事と真剣に向き合い「どうすれば売れるか」「どうすれば生産性が上がるか」と頭を悩ませながら部門を回していれば、間違いなく経験値が上がり、ビジネスセンスも磨かれます。すると、他の会社でも通用する実力がつき、良い条件の転職ができることは少なくありません。

 

 

トップに立つ時、何より大事なのは、変えること。小さなことでいいから、とにかく変わったと誰もが分かるようにすること。

 

 

一言でいうと、クリエイティブ・クラス(各分野を動かすコアとなる人たち)は社交性のあるオタクです。一人で引きこもって何かに熱中するから、人より秀でることができます。かといって、自分だけの世界に閉じこもってはいないから社会に影響力を持てるのです。またある種の子供っぽさも持ち合わせており、心から楽しいと思える仕事に集中します。

 

 

自分を中心にして半径50センチをウロウロしてたって、いい発想なんて生まれないということです。一番右はどこか、一番左はどこか、自分から最も遠い世界のことを知らないと思考の幅は広がりません。

 

 

戦略的に自己プロデュースを行なえば、競争相手が多い分野でもお金を稼げるようになります。日本マイクロソフト時代の部下が、その好例です。この人は、奥さんが陶芸教室に通いだしたことに影響を受けて、自分も陶芸を始めました。佐賀で土を買ったり、富士山の麓で釉薬(うわぐすり)用のススキを買ったりして、自宅でコツコツやっていたようなのですが、なんと開始から半年後に、目黒の焼き物屋さんのギャラリーを借りて個展を開催。さらに、何年も経たないうちに退職金を使って、パリのルーブル美術館の貸しギャラリーを1日数十万円で借りて、個展を開いたのです。すると、たまたまイギリスのセーラ妃が訪れたりして、大盛況。その勢いで、プロの陶芸家に転身しました。こんなやり方もあるというわけです。

 

 

企業が人材を採用する視点はふたつあります。「仲間」として採用するか、「労働力」として採用するかです。面接官を笑わせられる人材ならば、仲間として迎えられる確率が高くなります。知的産業や日本的な風土の企業では仲間意識を大切にするから、点を稼ぐことができるはずです。

 

 

「運鈍根」という言葉がありますよね。成功するためには、「幸運」と、「鈍さ」と、「根気」の3つが必要であるという意味の言葉です。「運」と「根気」が必要なのはわかりますが、なぜ「鈍」くなければいけないか。それは、鈍くない人は、成功すると有頂天になってしまって、それ以上考えなくなってしまうからです。一方で失敗すると、落ち込んだ気持ちを引きずって、嫌になってしまう。どちらにしても、仕事を続けられなくなってしまう。でも、鈍ければ、成功しても有頂天にまではなっていないから、もっと成功できるんじゃないかと考えるし、失敗しても引きずらない。そういう意味で、僕は幸い、「鈍い人」なんです。

 

 

会社は受験のように能力が一定以上ならどこでも受かるというものではありません。たった一社でも自分と相性の良い会社が見つかり、そこに入ることができれば成功なのです。そして、希望した会社に入れば、学歴コンプレックスなど吹き飛んでしまうものです。

 

 

趣味でお金を稼ぐためには、「できるだけ競争相手が少ないジャンルを探すこと」も、ポイントです。たとえば、ゴルフや野球、サッカーは、競技人口もファンの人口も多いので、新参者がお金を稼げるようなネタは、なかなか見つかりません。ただし、レッドオーシャンでも、テーマをズラせば競争相手を減らすことができます。たとえば、「写真」を趣味にしている人は山ほどいますから、漫然とやっていてもお金は稼げません。しかし、「日本百名山が見える神社だけを撮影している」としたら、ライバルはほとんどいなくなるでしょう。しかも、「日本百名山にすべて行っているけれども、麓まで行くだけで一つも登ったことがない」としたらインパクトもある。「絶対登らない日本百名山」「日本百名山を見る」などという写真集を出せるかもしれませんし、日本百名山を見るパワースポットのガイドの仕事もまわってくるかもしれません。

 

 

当社(インスパイア)の人間はベンチャーキャピタルをやっていますが、彼らには「ベンチャー企業に対して戦略なんて言うな」と言い聞かせています。良いものをつくって売ったら、そこでもう1回考える。売れなくても、もう1回考える。売れるも売れないも半年ぐらいは待てと。それまで一切、戦略なんていらないと。

 

 

若い世代では、「勝ち組カッコ悪い説」を唱える人が増えています。「大企業に居続けるのは、能力がなく、何も挑戦できなかった証拠」と考えているようです。彼らは、戦略コンサルティングファームや外資系金融機関、総合商社を辞め、ベンチャー企業を立ち上げたり、社会貢献系の仕事をしています。皆さんも、自分が旧来の価値観にとらわれていないか、考えてみてはいかがでしょう。

 

 

「旧来の価値観を捨てろ」と言われると、拒否反応を示す人はいると思いますが、そんな方も一度はご自身の価値観を見直してみてください。すると、どうでもいいことにとらわれていたことに気づくはず。その呪縛から一つ解き放たれるだけでも、人生に明るい展望が開けてくること間違いなしです。

 

 

私が伝えたいメッセージは、次の一言に集約できます。それは「古い価値観にとらわれて、自分をがんじがらめにしていないか」ということです。古い価値観を大切にするのは自由ですが、それに縛られると思考停止に陥り、自分の可能性を狭めてしまいます。

 

 

気をつけて欲しいことは、論理的であることだけがビジネスの成功の法則ではないということです。たとえば、新商品開発や新規事業戦略の立案など、クリエイティブな仕事をしている人にとっては、論理思考はかえって足かせになるでしょう。新しいものを生み出すには、論理的に考えるよりも、いかに発想を飛躍させられるかが勝負だからです。

 

 

人脈づくりで大切なことは、目標に縛られていない人に声をかけることです。最終的に大物に育つのは、いい加減に見えるくらい自由な感性を持った人なのです。

 

 

ただひとつ確かなこと、「新しいことをした者が勝ち、しない者は負ける」ということだけを胸に刻んで行動することが大事です。

 

 

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