創業者の想い、それは、企業そのものを映し出す~中小向け経営コンサルティング企業から学ぶ~


中小企業、ベンチャー企業を支える、コンサルティング会社。

経営者の悩みや問題を共に考える貴重な存在かもしれません。

IT分野、財務会計分野、法務分野、人材育成など、それぞれ分野に特化したコンサルティング会社が多く存在しています。

今回は数多くある中小企業経営コンサルティング会社、なかでも「戦略型コンサル」かつ、自社自体が「株式公開」を果たした経営コンサルティング会社3社にスポットを当ててみたいと思います。

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Contents

日本を代表する「中小企業コンサルティング会社」

冒頭にもお伝えしました通り、中小企業、ベンチャー企業向けコンサルティング会社は様々な分野で数多くのコンサルティング会社が存在しています。

ただ、総合的経営コンサルティング会社の中でも、自社自体が株式公開を果たした企業は限られた存在かもしれません。

コンサルティング会社は「モノ」を販売するわけではなく、「目に見えない価値」を提供します。

そのため、ご理解いただけない中小企業経営者には、なかなか「価値」をご理解いただけないのが実情ではないでしょうか。

特に昭和時代、コンサルティング会社の黎明期、日本でコンサルティング業界自体が認知されにくい時代でもありました。

その中、それぞれの強みを生かし、自らの立ち位置を一つ一つ構築してきた3社にスポットを当ててみたいと思います。

まずは、ご存知の方も多いかもしれません。

山田コンサルティンググループ株式会社です。

山田コンサルティンググループ株式会社

まずは山田コンサルティンググループ株式会社。

会計事務所が原点。

財務会計視点を生かし、M&A、事業承継のコンサルティング、事業再生、不動産コンサルティングなどを強みとしています。

タイやシンガポール、中国などの海外展開も注目されています。

創業者は山田淳一郎氏。

1947年、鹿児島県生まれ。

中央大学卒業後、国鉄に入社、その後、伊藤友夫法律事務所に入所。

1981年公認会計士・税理士山田淳一郎事務所(現 税理士法人山田&パートナーズ)を開設。

1989年に山田コンサルティンググループ株式会社を創業します。

2000年ナスダック・ジャパン(現JASDAQ)に株式上場。

会計事務所からスタートした背景から、M&Aや事業再生に強みを有しています。

特筆すべき点は「海外展開」、特にアジア。

2016年にはシンガポールの市場調査会社を買収しています。

また、特に昨今注目されている「事業継承」問題においても、今後も着実な成長が見込まれそうです。

そして、山田コンサルティンググループと言えば、細かく分かれた関係会社、組織の多さ。

税理士法人・監査法人・弁護士法人・司法書士法人・行政書士法人・社会保険労務士法人等、多くの法人を抱えるグループ集団です。

「税理士法人 山田&パートナーズ」「山田&パートナーズアカウンティング」「税理士法人 山田&パートナーズ」「Y&Pコンサルティング」「山田&パートナーズコンサルティング」「山田ファイナンシャルサービス」「相続あんしんサポート」「スパイアリサーチアンドコンサルティング」「司法書士法人山田リーガルコンサルティング」「社会労務士法人山田労務コンサルティング」「優成監査法人」。

それぞれの分野、専門家を抱え、中小企業、ベンチャー企業の「バックオフィス面」や「リスク・ディフェンス面」を支える、貴重な存在と言えるかもしれません。

株式会社タナベ経営

次は、株式会社タナベ経営。

日本の経営コンサルタント業界のパイオニア的存在ともいえるかもしれません。

最大の特徴は、売上の40%近くを占める広告・販売促進「SP事業」。

なかでも有名なのが、ビジネス手帳「ブルーダイアリー」。

「目に見えないものは買わない」という昭和時代の常識を、SP事業というビジネスモデルで乗り切った企業とも言えるかもしれません。

創業者は田辺昇一氏。

福井県出身。

1945年東北帝国大学工学部航空力学科卒業後、岡田金属工業入社。

この企業が倒産し、会社を救う医師「ビジネスドクター」が必要だと痛感し、1957年田辺経営相談所を創業します。

1993年株式公開(店頭公開)、2016年東証第1部に指定替えしています。

事業は「経営コンサルティング事業」、「SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業」の2軸。

「経営コンサルティング事業」は主に「中期経営計画(ビジョン)策定・推進」をフックとして、「人材採 用・育成・活躍」や「事業承継・次世代経営チーム(ジュニアボード)育成」という流れで支援を行う流れが一般的。

さらに増収支援もセットにし「SP(セールスプロモーション)」も合わせて支援するケースが多い。

後述する船井総研と事業領域が大きく重なりますが、BtoC業界企業が多い船井総研と比べると、製造業や卸売業などのBtoB事業を含めてオールラウンドで活躍しています。

増収支援という形態としては、昨今IT化、web戦略が比重を増やしているのは船井総研含めてトレンドかもしれません。

そして、何といってもタナベ経営と言えば、ビジネス手帳「ブルーダイアリー」。

経営者やビジネスマンが、「夢」に向かって「決断」と「行動」を促す、重要な武器ではないでしょうか。

株式会社船井総研ホールディングス

そして最後が船井総合研究所、通称船井総研。

船井総研と言えば、もともとは「小売業」コンサルティングに強みをもっていました。

特にスーパーマーケット、量販店。

創業者船井幸雄氏は、まだ中小企業であったイオンやイトーヨーカドー、西友やダイエー、ニチイなどの支援を行っていたことでも有名です。

タナベ経営同様、関西の地でスタート。

当初、創業者船井幸雄氏(2014年他界)は「ケンカの船井」と呼ばれ、血の気が多かった人物と言われています。

立地が成功要因の9割を占めると言われる小売業、地域一番を目指すことが勝ち残る秘訣だと説いています。

小売業支援からスタートした船井総研、クライアントもBtoC事業が多いのが特徴です。

ただ、小売業、飲食業、サービス業の不振の流れもあり、昨今は住宅・不動産業を軸に、医療・介護・福祉業、物流やロジスティック業のクライアントが増加傾向にあります。

それぞれの細かい分野毎に、それぞれ独立した専門チームが分かれており、絞った業界毎にピンポイントで営業から支援を行い、業界毎の「成功ルールを確立」させてレバレッジを利かせていることも特徴かもしれません。

創業者船井幸雄氏の経歴は以下です。

1933年大阪府生まれ。

1956年京都大学農学部農林経済学科卒業後、安全協会産業心理研究所を経て、13人で日本マネジメント協会を開設。

1970年日本マーケティングセンター(現船井総合研究所)を創業します。

1988年、大阪証券取引所第2部市場特別指定銘柄(新2部)上場、2005年東京・大阪両証券取引所第1部市場に指定替えしています。

船井幸雄氏で有名なものは「成功者の3つの条件」です。

①素直 

②勉強好き 

③プラス思考

船井幸雄氏が多くの経営者を見てきて、経営者の成功の条件を見出したと言われています。

船井幸雄氏は後半、少し思想的になりすぎてしまった感はありますが、それでも一代で東証一部上場企業まで築き上げたその実績、経歴は「一目置く」に値するものではないでしょうか。

船井幸雄氏は400冊以上の著作の中でも以下のような言葉があります。

不安はまず無知から生じます。海原にいて海の他に何も見えないとき、陸地がないと考えるのは、そのありかを知らないからです。したがって未来を希望的に描くには、未来を知ることが必要です。この先どうなっていくのか、よく勉強して知ろうとすることが肝要です。」
船井幸雄氏著作「百匹目の猿より」

知は灯(ともしび)」と仰っています。

「学ぶこと」は、未来を照らす明かりなのかもしれません。

そして「プラス思考」。

失敗が成功に。

不可能が可能に。

重要なのは、そこから何を学べるのか、そして、どう動くのか。

確かに「プラス思考」は成功する条件の一つではないでしょうか。

中小企業向け経営コンサルティング会社3社まとめ

日本国内には有名無名も含め、コンサルティング会社は数多く存在しています。

なかには信用に値しない自称コンサル会社も多く存在するのはご存知の通りです。

実際、株式公開までに到達できる経営コンサルティング会社はごく一握りではないでしょうか。

そこには、必ず何か「理由」があるはずです。

どのような「生い立ち」なのか。

創業の想い、原点はどこか。

そして、どこに向かっているのか。

その動向を見ることで、その会社の「強み」「存在意義」も自然と見えてくるのかもしれません。

まさに「生きざま」そのものではないでしょうか。

これはコンサルティング会社だけではありません。

あらゆる業界でも当てはまるものではないでしょうか。

「創業者の想い」、それは、企業そのものを映し出します。

あらゆる企業の原点かもしれません。

最後に

名言を贈ります。

やりたいという人間に場を提供し、そのリーダーや会社が成長してきた。そこに価値がある。
山田淳一郎/山田コンサルティンググループ創業者

大きく成長してきた企業の社長は共通した四つの「ション」を持っている。
ビジョン<夢>
パッション<情熱>
ディシジョン<決断>
アクション<行動>
田辺昇一/タナベ経営創業者

すべてを可能にするのは、プラス発想しかありません。
船井幸雄/船井総研創業者

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