心惹かれる、未知なる世界~リーマン予想とは?~


「リーマン予想」ってご存知でしょうか。

歴代天才数学者が挑み続けた難題、素数の謎です。

素数と言えば、小学生の頃、習いましたよね。

割り切れない素数は「数の原子」とも言われています。

今回はそんな魅力的な素数の謎、「リーマン予想」についてお伝えします!

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Contents

世の中の全ての物質の元「元素」

「元素」ってご存知でしょうか。

O(酸素)とか、H(水素)、C(炭素)など、昔覚えたかと思います。

世の中の全ての物質の元になっている「元素」

草や木や動物、海、山、大気、宇宙、そして私たち自身も、この世にある全てのものは元素から出来ています。

例えば、H2O(水)はH(水素)とO(酸素)からできています。

元素は物質を構成する基本的な成分なんですね。

もちろん、私たち、「ヒト」も元素から成り立っています。

【ヒトの元素】

・酸素 約63%
・炭素 約20%
・水素 約9%
・窒素 約5%
・カルシウム 約1%
・その他 約2%

すごいですね、私たちは酸素と炭素を中心に、できあがっているんですね。

そういえば、原子は英語で「atom」

元はギリシャ語で「分割できないもの」という意味と言われています。

原子・元素は、私たちの地球、そして宇宙全体を構成する「最小単位」といっても過言ではないかもしれません。

数の最小単位「素数」とは?

最小単位と言えば、数学の世界での最小単位は「素数」です。

素数は、小学校の時に習いましたよね。

ご存知、素数とは、2、3、5、7、11、……のように、自分自身と1以外では割り切れない数のことです。

それ以上分解することができない、整数の世界の元素と言えそうです。

素数は、英語ではprime numberと言われ、「prime」は、最初、原始、はじめにある という意味です。

数字における原始的な存在かもしれません。

でも、この「数の原子」と呼ばれる素数、非常に不思議、そして魅力的な数字だということをご存知でしょうか。

不思議なことに、その規則性が見当たらないのです。

不思議な数の列。

その並び方はバラバラで、まったく規則はありません。

その並びはまったく気まぐれで、2つか3つ進んだだけで素数に出会うことがあったり、実に72個も素数に出会わない、砂漠地帯もあるのです。

11までは素数出現の間隔が徐々に空きますが、11の次は13と縮まります。

数字が大きくなっても、この「気まぐれ」は変わりません。

規則性は見えてきません。

この、神秘的、摩訶不思議な素数に対する謎に対し、過去多くの天才数学者が挑んできました。

何百年もの間、世界中の天才たちにも解き明かせない難解中の難解分野だと言われています。

全く規則のない数値の羅列なのか、それとも何か意味がある数列なのか・・・。

不思議ですね。

数学者とは何者か?

素数の謎に挑んだ数学者は数え切れません。

なかには、その難解さに、精神を病んでしまった方もいたと言われています。

そもそも数学とは、そして数学者とは何者なのでしょうか。

数学とは、量、構造、空間などのパターンを探し、新しい予想を定式化し、真理を確立する学問。

「秘められた法則を探す科学」と言えるのではないでしょうか。

つまり、数学者とは「物事のパターンを探す人」とも言えそうです。

このような意味での数学では、単なる公式暗記の試験問題という数学ではなく、真理を追究する、非常に哲学的存在ではないでしょうか。

音楽家が、単なる雑音、音の羅列を、ある規則やパターンによって、音楽を演奏することとよく似ているのかもしれません。

多くの数学者は、元素に法則があるように、「素数」にも何らかのパターンがあるのかどうか、その人生をかけて挑んできました。

以下、素数の謎に挑んだ学者3人をピックアップします。

レオンハルト・オイラー

まずは1人目、18世紀スイスのオイラー(1707~1783)。

ニュートンが数学を自然界に応用し多くの科学的な実績を残していた18世紀初頭の数学者です。

人間離れした計算力と記憶力で膨大な計算を暗算で行うことができたオイラーは、数学のあらゆる分野、さらには物理学にも膨大な業績を残しました。

幾何学で表現されていたニュートン力学を「ma=F」という現在の解析的表現に変更したのもオイラー。

オイラーは1年間に普通の数学者の一生分に相当する平均800ページもの論文を書いたため、人類史上最も多くの論文を書いた数学者であったと言われます。

悪環境やストレスから、30歳になる頃には片目を、60歳になる頃には両目を失明してしまうが、論文を書くペースは全盲になっても全く変わることはなく76歳で亡くなるその日まで数学に没頭していたといわれてます。

そのオイラーが素数に対して、一つの発見します。

それが、素数と円周率との関係

円周率はπ、3.14159265…

円周率と自然数、自然数と素数、この数式がイコールでつながっている。

円周率と素数は自然数を介して繋がっていることが判明されました。

宇宙で最も美しい形、円周率(π)と、素数は関係している。

オイラーは、意味のない素数の集まりが、宇宙での究極の美である「円」に関係していると発見したのです。

しかし、18世紀において素数の謎はここまでしか判明せず、依然として素数の謎は大きな謎のままでした。

ゲオルク・フリードリヒ・ベルンハルト・リーマン

そして2人目、19世紀に入り、ドイツのリーマン(1826~1866)が素数の謎に挑みます。

リーマンは、ゲッチンゲン大学教授で、わずか39歳という若さで亡くなった天才数学者。

没後、20世紀に入ってから再評価された人物で、生前は評価されず、不遇であったと言われています。

リーマンは「素数公式」なるものを求め、「ゼータ関数」を用いて立体的なグラフで描き、グラフの高さがゼロになる「ゼロ点」となる点の位置を調べました。

ゼロ点の位置を4つほど求めたリーマンは、その4つのゼロ点は一直線上に並んでいることに気づきます。

リーマンは「ゼータ関数の非自明なゼロ点はすべて一直線上にあるはずだ」という仮説を、1859年に自身の論文「与えられた数より小さい素数の個数について」、わずか9ページの論文において発表。

これがかの有名な「リーマン予想」と呼ばれているものです。

数学上の最大の未解決問題の一つだと言われています。

米国のクレイ数学研究所はミレニアム懸賞問題の一つとしてリーマン予想の解決者に対して100万ドル(約1億円)の懸賞金を支払うことを約束しているほど。

リーマン没後150年以上経過した現在でも、いまだ「リーマン予想」の解決には至っていません。

フリーマン・ジョン・ダイソン

大きな発見があったのは、なんと物理学者。

米国フリーマン・ダイソン博士(1923~現在)です。

フリーマン・ダイソン氏は、プリンストン高等研究所名誉教授で、素粒子などミクロの世界を研究していた物理学の大御所です。

フリーマン・ダイソン博士は、「リーマン予想」に関する大きな発見をします。

ある日、フリーマン・ダイソンが、息抜きにやって来た午後3時のお茶の時間、たまたま そこを訪れていた一人の数学者ヒュー・モンゴメリー博士(ミシガン大学教授)と雑談していた時です。

物理学者のフリーマン・ダイソンは専門外の素数の公式を見た瞬間、驚きました。

なんと、「ゼータ関数の零点の間隔」「ウランなどの原子核のエネルギー間隔」が同一であることを発見します!

素数は、核物理学と関連?!

自然界の構成要素である原子、その中心に位置する原子核のエネルギーは一定ではなく、なんらかの影響で値に変化するといわれています。

そのとびとびの原子核のエネルギー間隔値と、素数のゼータ関数のゼロ点の位置の値とが同じである、と発見しました。

これが何を意味しているのか・・・

素数が、核物理学と関係している、物質のミクロの単位である「素」粒子と、数の源である「素」数には、不思議な縁があるのかもしれません。

この発見以来、素数の「リーマン予想」は、究極の物理法則を読み解く「神の数字」?!とまで考えられています。

素数の謎が解けるとき、宇宙のあらゆる現象を説明する万物の理論も完成する可能性がある、そう口にする学者もいるそうです。

すごいですね。

ただの数字の羅列だと思っていた素数が、「宇宙の真理」を説明するものだとしたら・・・。

現在、数学者、物理学者含め、多くの学者が、分野を超えてこの「真理」を追及しています。

何世紀も解決できない難問は、宇宙の謎とつながっているかもしれない・・・。

素数の神秘性

数の源、素数。

2、3、5、7、11、13、17……

割り切れない数字でもあり、誰にも侵されない聖域のような数字、孤高な数字とも思えます。

そういえば、素数は私たちの生活にも多く取り入れられていますよね。

例えば、七五三。

応援で使われている三、三、七拍子。

亡くなられた方には、「三回忌」「七回忌」「十三回忌」。

13と言えば、13日の金曜日も有名。

聖徳太子がつくった憲法十七条で条項の数も「17」ですね。

俳句も17字の世界。

短歌の五、七、五、七、七もそれぞれが素数で、この総和31も素数です。

面白いですね。

素数は、魅力的で、なぜか心惹かれます。

最後に

数学者が人生をかけて挑む難題「リーマン予想」。

いまだ、その謎は解明されていません。

未知の世界、誰も到達できていない場所。未踏の地。

なぜか、心惹かれます。

多くの数学者が、その素数の謎に挑み、人生をかけてきました。

でも、数学に人生をかけることって、意味があるのでしょうか?

そう、考える人もいるかもしれません。

意味があるかどうか、それはわかりません。

でも、寝食、すべてを忘れて没頭できること。

それ自体、とても素晴らしいことではないでしょうか。

夢中になれることがあるなら、それだけで、人生とても幸せなことかもしれません。

最後に名言を贈ります。

人生こうあるべきじゃないかと深刻に考えるよりも、夢中になっているお魚をひたすら書いたり、調べたりすることのほうが自分には自然でした。
宮澤正之/さかなクン

金なんかなくたって、心が豊かで、誰にも迷惑をかけずに、好きなことをやっていけたら、これが一番幸せな人生なんだろうな。俺は若いころから好きなこととなると無我夢中になった。だって、嫌いなことを無理してやったって仕方がないだろう。
本田宗一郎/HONDA創業者

人間にとって本当に幸せは、光の下にいることではないと思う。その光を遠く見据えて、それに向かって懸命に走っている、無我夢中の時間の中にこそ、人生の充実があると思う。
安藤忠雄/建築家

何かに夢中になる時間が多ければ多いほど、人生は豊かになっていくもの。
林野宏/クレディセゾン代表

夢中で生きることが、生きていく目的。
宇野千代/随筆家

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