株式会社ウィルズ創業者、杉本光生:半年間で500社近くを訪問して1社も売れなかった打開策とは?

株式会社ウィルズ創業者、杉本光生:半年間で500社近くを訪問して1社も売れなかった打開策とは?

 

 

半年間で500社近くを訪問して1社も売れなかった打開策とは?

 

 

杉本光生/ウィルズ創業者

 

 

私としても「これは売れる」と、意気揚々と上場企業に営業しました。

ところが半年間で500社近くを訪問したものの1社も売れなかった。

「面白い仕組みだけど信用できない」という訳です。

なんとか信用を得るためには、実績を作るしか道はない。

それも大企業に使ってもらわなくてはいけない。

そこでパナソニック、当時の松下電器へ勝負をかけたのです。

お会いした担当の方に「無料でいいのでぜひ使ってください」と話したのですが、やはりだめでした。

お金の問題ではなかったのですね。

しかしこちらも事業の瀬戸際でしたから、どうしてもあきらめきれない。

イチかバチかIR部長宛てに封書で手紙を送ったのです。

少しでも誠意が伝わればという必死の思いでした。

すると、IR部長から連絡が来て、数ヶ月間社内で検討していただき、正式に採用していただけることになったのです。

定価200万円の製品ですが、なによりも大企業が採用したという信用力を得ることができたのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

杉本光生(ウィルズ創業者)とは?

 

 

杉本光生。

株式会社リクルートコスモス、株式会社アイ・アールジャパンなどを経て、2004年10月に株式会社ウィルズの前身となるインベスター・ネットワークス株式会社を設立。

 

長年のIRコンサルティング経験を活かし、効率的なIR活動の実現を目指して、「IR-navi」を考案・プロデュース。

2015年9月には個人投資家向け株主優待サイト「プレミアム優待倶楽部」をリリースし、国内上場企業に対して、戦略的個人投資家向けIRを提唱。

 

2019年11月東証マザーズへ上場。

 

 

 

 

 

 

 

 

杉本光生(ウィルズ創業者)の「コトバ」

 

 

 

 

私は学生のとき、バイト漬けの日々を送っていました。その当時は普通のサラリーマンで一生終わるのは嫌だと漠然と考えていました。なんとなく、社会の成り立ちを経験しておけば、将来もし起業する時に役立つのでは、という思いでアルバイトをしていたと思います。例えば、コンビニで勤めたり、家庭教師、塾講師などの定番といわれるようなアルバイトを経験しました。かわったところでは、バーテンダー、ビルの管理会社で働いたこともありました。このような経験を通していろんな世代の方と触れ合える機会があり、勉強になったと感じます。その中で、起業しようという思いが芽生え、卒業する前、後々起業するにはどんな企業に就職した方がいいのかということや、これから伸びていくセクターなどのことを考慮して、条件が一致したリクルートコスモスという会社に就職。そんな経験がベースとなって、2004年の起業へ繋がったと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3000万を投資し、“インターネットを介して事業会社と機関投資家を結ぶ情報インフラを作る”ことを目的とした、「IRナビ」を2005年の秋にリリース。≪2期目に感じた苦労≫IR-naviをリリースしたまでは良かったのですが、半年間まったく売れない状況が続きました。契約してもらうために、コンテンツの充実や、ユーザビリティの向上に務めましたが、IR-naviは運用コストも大きかったため、資金繰りには相当苦労しました。それでも、“この壁を乗り越えなければ3rdステージには上がれない”そう思い、死力を尽くした結果、顧客数120社、合計売上高3億円の規模に伸ばすことができました。ここを乗り越えるのは相当辛かったですね。

 

 

 

 

 

 

 

当社は主に四つの事業分野がございまして、一番のその収益のドライバーになっているのは、プレミアム優待倶楽部と言いまして、優待をベースにしたソリューションですね。それから、もう一つはPremium PORTALと言って、これは弊社が運営しているECのサイトになるわけなんです。三つ目が、IR-naviと言いまして、これは株主プラットフォームという位置づけで展開しているんですけども、このIR-navi上で発行体、企業と外国人投資家、それから国内の機関投資家、個人投資家をインターネット上でインターラクティブに結ぶという、そういったインフラになります。最後がESGソリューションという、この四つの事業分野で今は展開しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どれくらいの外国人が投資しているのか」というクライアント企業からの問い合わせが目立つようになり、このニーズに応えられるビジネスを考えたのです。そこで、2004年に独立したのですが、当初はIRコンサルや、統合報告書などを作成して、売上高は約1億円程ありました。その利益を全て開発資金として投資したのです。こうして完成させたのが現在の「IR-navi」の原型です。

 

 

 

 

 

 

ところが、翌月にはリーマンショックが起きてしまった。1ヶ月ずれていたとしたらと思うと今でもぞっとします。その場は助かったのですが、その後、クライアントが次々とIRをやらないと言い出してしまった。当時はクライアントが200社を越えていたのですが。50社以上から解約されてしまった。その頃は結構攻めの営業をして、どんどん業績が伸びる前提で事業計画を立てていたものですから、あっという間にショートしてしまった。2008年は売上約5億5000万円に対して、1億5000万円と過去最高の大赤字を出してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

オフィスも家賃を下げるために移転して。社員も当時は45人ぐらいいたのですが、人員削減したり、役員全員3ヶ月間給料ゼロにしたりして、何とかしてコストダウンしてしのぎました。売り上げも3億円台まで落ち込みました。2009年頃から何とかやりくりして2年間でやっと建て直したところに、今度は、2011年に東日本大震災が起きて、また苦労することになりました。ようやく潮目が変わったのが、2013年頃からのアベノミクス政策でした。それ以前には、「IR-navi」事業1本ではダメと考えて「プレミア優待倶楽部」という新しいサービスを考えていました。

 

 

 

 

 

 

 

ポイントについては、最初に優待倶楽部の導入企業の株主数に連動して、全株主が株主優待を行使した場合の株主還元ポイント総額が算出される。当社が企業に対して請求するのは、株主が優待品とポイントを交換した時になる。例えば、株主が5000ポイントで、株主優待の米と交換したとすると、その時点で5000円を優待倶楽部の導入企業に請求する。

 

 

 

 

 

 

 

 

日本には1800兆円もの個人の金融資産があるといわれていますが、これが株式投資に回っていない、というのが実感です。個人投資家が増えればもう少し日経平均株価は上がってもいい、というのが私の考えです。どうすれば個人投資家が増えるのだろうとリサーチした結果、株主優待と高配当の銘柄ならば買うということでした。当サービスでは、保有期間に応じてもポイントが溜まりますので、長期的に保有していただくだけメリットは大きくなる。管理コストについても、自社でやれば1通あたり500円以上のコストがかかります。そのため、当社のサービスを利用する企業が増えているのです。実際、導入した企業では、すぐに出来高が増え、株価も上昇しました。これも個人投資家の動きを活発化させたいとの考えからです。株主優待制度を導入している企業は1500社程ありますが、当社のシェアはまだ2.8%に過ぎない。サービスの充実化によって開拓の余地はあると思っています。

 

 

 

 

 

 

シンガポールへ出張した際にアジアの活気を感じました。今の日本にはない成長期のエネルギーだと思います。日本では、失われた20年と言われますが、その間、中国や韓国は目覚しい発展をとげました。その原動力になっているのは、「若い世代のエネルギー」だと思います。一方で日本では、2000年前後に盛り上がったベンチャー熱は冷め、ライブドア・ショック、リーマン・ショックなどの影響でまた大企業に人気が戻りました。日本がもう一度、成長力を取り戻すには、若いベンチャー企業よる日本経済の新陳代謝が必要だと思います。かつてのホンダやソニーが世界を目指したように、グローバル市場を開拓していこうとするベンチャー魂を持った人を期待しています。私自身もサラリーマンで終わるんだろうなと若い頃思っていましたが、学生の皆さんには、漠然と就職活動をして、企業に入るということばかり考えずに、起業するということも視野に入れて、動いて頂きたいです。もしかしたら、それが将来何かのきっかけで起業につながることもあると信じて、今できることをしっかり行うことだと思います。

 

 

 

 

 

 

 

もっと明るい未来図を描くべきですよね。1970年代は日本企業が世界を席巻していましたが、2000年頃に東芝がサムスンに抜かれ、今ではトヨタがテスラに抜かれてしまった。日本企業としては現実を直視して、その敗因は何だったのかをもう一度考えることが必要なのではないでしょうか。海外企業に抜かれている場合ではありません。

 

 

 

businessカテゴリの最新記事