株式会社ブシロード創業者、木谷高明:ライバルメーカーが出てきてほしい理由とは?

株式会社ブシロード創業者、木谷高明:ライバルメーカーが出てきてほしい理由とは?

 

ライバルメーカーが出てきてほしい理由とは?

 

 

木谷高明/ブシロード創業者

 

 

「もっとライバルメーカーに出てきてほしい」という私からの願いです。

日本のカードゲーム業界は、市場規模で1000億円になろうとしているマーケットですが、売り上げの5割以上がカードゲームというメーカーは、いまのところブシロードを除いてほとんどありません。

例えば本を世に出すのはおもに専業の出版社ですが、カードゲームに関しては、バンダイさんやタカラトミーさんのようなおもちゃ会社、あるいはコナミさんのようなデジタルのゲーム会社が兼業でやるものという認識で、専業メーカーが主流というイメージはまだないと思います。

 

 

 

 

 

 

木谷高明(ブシロード創業者)とは?

 

 

 

木谷高明。

1960年生まれ、石川県金沢市出身。

 

武蔵大学経済学部卒業後、1984年、山一證券に入社。

アメリカ勤務などをこなす。

 

同世代の勉強会である透水会の初代会長。

同僚に鮎川純太がいた。

 

1994年山一を退社。

同年3月25日、ベンチャー企業のブロッコリーを設立。

 

当初はイベント運営を主な業務とし、1994年~1998年には同人誌即売会コミックキャッスルを開催。

1996年にはキャラクターグッズ販売店ゲーマーズの1号店を開店。

 

「DC(デジタルキャラクター)マーケット」のキャッチフレーズを掲げ、キャラクタービジネスを中心にアニメ、ゲームなど多角的に展開した。

1998年に始まるデ・ジ・キャラットのヒットで業績を伸ばし、2001年にはJASDAQ上場を果たした。

 

しかし急激な事業拡大が祟り、2000年には赤字転落。

2003年にタカラの支援を受け傘下に入った。

 

2005年5月26日、木谷は社長を辞任、代表取締役社長から代表取締役会長兼最高開発責任者となり、コンテンツ開発機能の強化を行うとされた。

2006年10月19日、ブロッコリーの代表権を返上し取締役会長・最高開発責任者となり、経営は現経営陣に一任し、企画開発・プロデュースに専念するとされた。

 

2007年4月26日付で、取締役会長・最高開発責任者を辞任、自ら創業したブロッコリーの経営から完全に離れた。

2007年5月、カードゲーム商品等を手がける会社として株式会社ブシロードを設立、代表取締役社長に就任。

 

社名の由来は、ブロッコリー時代に自ら主導で企画しながら諸事情で映像化が果たせなかった『熱風海陸ブシロード』にちなんでいる。

2012年1月、自身が所有するブシロードグループパブリッシングを通じて、ユークスから新日本プロレスリングの全株式を5億円で取得した。

 

それにともない、谷口行規の後任として、新日本プロレスリング取締役会長に就任した。

2012年2月には新日本プロレスリングより第三者割当増資を引き受け、発行済み株式23.3%を保有する株主にもなった。

 

なお、2013年9月24日に会長を辞任を発表し、以降はオーナーとしてバックアップに専念することを宣言している。

2014年8月より、ブシロードTCG及び日本のエンタメを東南アジアや世界に広げるため、3年程シンガポールを拠点に活動する予定であるとした。

 

2017年10月20日に開催される株主総会においてブシロード社長の座を降り、代表権も返上、一取締役として、デジタルコンテンツ部本部長・広報宣伝部部長、並びに子会社であるブシロードミュージックの代表取締役社長に就任し、“コンテンツ作りの最前線”についた。

 

2018年3月31日までで先述のシンガポール常駐を終え、日本を拠点に戻し、本格的にものづくりに力を入れていくとしている。

 

 

 

 

 

 

木谷高明(ブシロード創業者)の「コトバ」

 

 

 

私の仕事の原点は、山一證券(1997年に自主廃業)でした。実は、私には嫌いな言葉が2つあります。それは「努力」と「忍耐」です。証券マンは汗水たらしながら靴底をすり減らし、ド根性で取り組んでいると思われるかもしれませんが、私は違いました。

 

 

 

 

子どもの頃から「社長になりたい」という夢を持っていました。今の若い人の価値観にはあまりないかもしれませんが、「立身出世」を果たしたいという思いがあったのです。

 

 

 

問屋はメーカーとショップの間に立つポジションなのに、両者への情報提供はほとんどないに等しい。本当に商品を間で取り次いでいるだけです。アメリカのディストリビューター(卸業者)のほうが、付き合っていても心強い。例えばアメリカの場合、それぞれの問屋が何州に何店舗商品を卸しているかというデータがあります。そのデータを共有して、人口比で手薄な州を調べて、そこから重点的に攻めていく。アメリカは広いですから、そのまま日本でも同じ方法が通用するとは限りませんが、とにかく日本では問屋さんからの企画書というものを見たことがありません。流通の現場に意識が高くて、カードゲームが好きな人はきっといると思うのですが、上司がリスクを取らなければそれまでです。現状、問屋はやっていることが掛け率(定価に対する卸値の割合)の競争だけで、企画の提案力に欠けていると思います。

 

 

 

 

社内でも「24時間!?」「無理でしょ」「事故や問題が……」という声は多かったんです。もちろん、難しいというか、やらないほうがいい理由はいくつでも出てきます。それでも100%の準備や対策ができてないと動けなかったら、面白いことなんてできません。20、30%しか見えてなくてもチャレンジする、リスクを取って始めてしまうことで見えてくる世界があるんです。だから、24時間イベントについては「いいからやれ」に近い号令をかけました。反省点もありますけど、モザイクアートなんかは現場から出てきたアイデアですし、イベントとして結果的には盛り上がったし、成功だと思っています。そして今年のチャレンジがあったからこそ、次はもっとうまくやれます。小さなことでもいいから、もっとハジケた発想をする人間が社内にもっと欲しいところですね。

 

 

 

 

 

就活についてもマニュアル化されていて、個性だとか自主性とかを要求するわりには、右向け右に従えるほうが有利みたいな風潮があるでしょう。服装だって、あえて派手だったりラフだったりする必要はありませんが、全員が黒スーツばかりになるのはおかしいですよ。就活自体に、そういう抑圧的な雰囲気があるんですね。採用側も、組織からはみだしそうな人材を本能的に避けてしまう。自分が、既存の組織が持ちえないような発想の人間は持て余しそうだから、採用するにしても研究開発部門に閉じこめておこうとか……極端ですが、そういう守りの感覚に縛られていませんか?

 

 

 

 

 

カードゲームのプロモーションは選挙と似ているとよく感じます。やはり大義、公約が大事なんです。「今度の選挙ではこれを実行するために私は立候補しました」というのが、明確にあるかないか。カードゲームの新作には、なぜこれを出すかという大義があってほしい。しかし、多くの新作タイトルからはあまりそれを感じません。一応伝わってくるものはあります。経営の多角化とか、ソーシャルだけだと不安だから、カードゲームにも進出してきたとか。そうした大義はもちろん「作り手がやりたいことをやりました」でも構わないわけです。それをユーザーが面白いと思えば大きくなっていく。あるいは二番煎じでも構わない。「あっちにないものがこっちにあります」というリベンジが新たなコンテンツとして広がっていくことも、よくあることです。いずれにせよ「これをやりたい」というマインドが大事ですし、プラスだろうが、マイナスだろうが、エネルギーが必要ということです。カードゲームは垂直立ち上げしなきゃいけないので、お金もふくめて、いろんな意味でエネルギーが必要ということです。

 

 

 

 

時代に備えて、地域に合わせた大胆な投資や戦略をトップダウンで迅速に行えるように、英語や北京語に通じたリーダーが必要です。ただ会話ができるとか、勉強して通訳ができる語学力だけではいけません。ネイティブな外国語環境で育って、口げんか、つまり議論や交渉をするには現地の考え方や文化を知らなければいけません。面白いもの、日本でウケているものを黙ってもっていけば海外でも売れる、ウケるという時代ではありません。

 

 

 

 

 

弊社にとって初めての海外現地法人である、シンガポール法人の立ち上げから3年たった今、今後の課題も見えてきました。「行って何をすればいいのか?」という後ろ向きの懸念はありません。「行けば何か浮かぶし、やることもわかる」と前向きに考えています。「いつまでに何をどうする」という目標は、とりあえず立てていません。きっと想像以上のこと、予想もしなかったことが起こるはずですから。海外向け新事業として、ヴァンガードの新施策も必要だと思っていますが、それだけではありません。環境を変えて、刺激にさらされることで、人間も会社も変わります。

 

 

 

 

カードゲームだけでなく、趣味に求められているのはコミュニティなんです。どうやって友達を作って、何をして一緒に遊ぶか。そのためのツールをみんな探しています。友達と一緒に、すごいカードを使って、ワクワクした“ごっこ遊び”をしたいんです。カードゲームを作るということは、そういうコミュニティを立ち上げることなんですね。

 

 

 

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