株式会社JMDC(ジャムダック:日本医療データセンター)創業者、木村真也:データの「2つの魅力」とは?

株式会社JMDC(ジャムダック:日本医療データセンター)創業者、木村真也:データの「2つの魅力」とは?

 

データの「2つの魅力」とは?

 

木村真也/株式会社JMDC(ジャムダック:日本医療データセンター)創業者

 

 

 

JMDCを創業する前からそうなんですが、私がある種の信念として今でもブレていないことは、データの魅力ですね。

魅力には2つあって、一つ目は、データは大量になればなるほど引力が大きくなります。

JMDCはヘルスケアと医療の大量データを扱っています。

創業当時は当然少ないデータ量から始まっていますが、大きくなればなるほど、データを使いたい人や企業からの問い合わせは増えていったという体感があります。

その期待値が高まると資金も増加していきましたし、優秀な人材も入社していただけるようになっていきました。

このような引力もそうなんですが、様々なビジネスや新サービスといったアイデアも吸い寄せられてきます。

2つ目の魅力は、データは最高の刺激材であることです。

データそのものは決して答えを出してはくれませんが、課題に直面している人にとってデータから導きだされることは、閃きを呼び起こしたり、仮説を生んだり、更なる疑問を投げかける心地よい刺激ですね。

データは本当に魅力的な社会を良くしていくドライバーだと信じています。

 

 

 

 

 

 

木村真也(JMDC創業者)とは?

 

 

 

木村真也。

1975年 広島電機大学付属高等学校卒業。

 

1981年 京都産業大学外国語学部ドイツ語学科卒業。

ジェイエムエス株式会社と日本ポラロイド株式会社にて営業職を経験。

ビゴ・スペクトラメッド株式会社にてマーケティングマネージャーを経て、グラクソ・ウエルカム株式会社(現在はグラクソ・スミスクライン株式会社)にてマーケティング部長に就任、クインタイルズ・トランスナショナル株式会社にて副社長に就任。

 

2002年に健保に請求がくる医療報酬明細書(レセプト)のデータを分析し、安い医薬品の投与など効率化で医療費削減などを提言する会社、日本医療データセンター(JMDC)の設立と同時に代表取締役社長に就任。

 

2008年にオリンパスが株式71.8%を取得し、同社子会社となった後、2013年5月にノーリツ鋼機グループが買収。

2013年木村氏は代表取締役会長に就任。

 

2019年12月株式会社JMDCは東証マザーズに上場。

 

 

日本薬剤疫学会レセプト情報等の利活用に向けた特別委員会委員、医療データベース協会代表理事。

 

 

 

 

 

木村真也(JMDC創業者)の「コトバ」

 

 

 

 

学生時代苦労した分、社会で生きるために役にたってきたかなと思い当たることといえば、「諦めるな」ということと「前向きに思考すれば行動も前向きになる」ということでしょうか。とはいえ、勉強はやっておいたほうが良いですね。社会に出ても勉強はいつまでも続くので、やるなら早いうちからやっておいたほうが良いわけです。特に勉強のやり方、物事の調べ方・聞き方、考える方法などは訓練みたいなもの。

 

 

 

卒業前の就職活動に苦労しつつも医療機器メーカーに就職し営業として病院を回り、医師・看護師・事務長さん相手にせっせと訪問して新規受注を狙う営業マンでした。営業車は悲惨でしたね、エアコンが無い!のです。猛暑の夏も全開の窓から右腕をドアにかけつつ1日平均200km走行。右腕だけが日焼けで異様に黒い時代です。営業は面白く、いかにして地域シェアをナンバーワンにしてやるかを考えていました。

 

 

 

 

 

病院営業時代6年間のあと、外資系メーカーに転職したのですが、営業からマーケティングに移りここで英語苦労時代の幕開けとなりました。海外出張も年に数回のペースで続き、英語で会議・プレゼンテーション・・・できるわけがありません。初めての海外出張のときは行きの飛行機の中からチェックインしたホテルを経て会議の前まで28時間ぶっ通しで和英辞書を引いていたこともありました。ですが、ひたすら寡黙に無口な日本人となっていました。修行僧のようです。あるときデンマーク出張時にホテルのチェックインのときに英語が出ず、思わずドイツ語で予約確認をしたことがあります。これはイカンと実践から勉強、「馴れ」と「なんとか成れ」でなんとか仕事になるまでにはなりました。この外資系企業は製薬会社で英語以外にも薬のこと、疾病のこと、薬事等のレギュレーション、市場調査手法、マーケティング論などなど実務をこなしながらの勉強の毎日。駆け足のような時代が過ぎていくと寡黙で無口な日本人は「やかましい日本人」になっていたわけです。

 

 

 

 

製薬企業で感じていたことは、いかにデータが不足しているかということでした。医療現場の実態(実地医療)が可視化できないジレンマのなかでの戦略策定や評価は困難を極めるものですし、治療のなかでも重要な役目を果たす薬剤が実際にどのように患者さんのためになっているのかどうか把握できないのです。そこで、思いついたのが、誰もデータを作らないのなら「自分で作る」こと。起業です。資本はありませんので、紙芝居をつくりベンチャーキャピタルのドアをたたき、自分の考える事業モデルと熱意で説得し投資をしてもらって会社を始めることができました。あとでキャピタルの人に聞くところでは会社も存在していないものに出資を決めるということは極めて稀なことで日本でも始めてだと思うとのこと。そんなムチャなこともやっていたようです。この会社ではレセプトと健診データを匿名化(非個人情報化)して名寄せするというプログラム開発や医療データベースの構築などシステムと医療データ処理、保険制度などの勉強の始まりです。いつまでも勉強なんですね。

 

 

 

 

 

データをコアにしたビジネスモデルで最も大切にしていることは、データは集めようとしてはダメで、データが集まる仕組みをつくっていくことが重要だと思っています。この仕組みをつくることは簡単なものではないですが、諦めないでアイデアと現場フットワークの繰り返しでつくりあげることができると他にはないものができます。

 

 

 

 

 

現在の研究者は、自らデータを作る必要はありません。われわれの提供するような、優れたデータを分析することで、薬の副作用や飲み合わせの問 題などが明らかになるケースもあります。われわれの事業は、そういう面で間接的に患者利益に貢献しています。これからも、SASを活用し、品質を高く維持した医療情報を提供していきます。

 

 

 

 

 

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