【セキュリティクリアランス法案は海外スパイ対策ではなくて日本国民への情報統制だった!】国はLINEも、メールも、Twitterも監視できる!~国民も企業も国が監視管理!セキュリティクリアランス法は戦争準備法案だった!?~
■身辺調査法案・秘密保護法大改悪法案
■経済状況や「飲酒の節度」まで民間人を調べ上げる「経済安保」法案
東京新聞
tokyo-np.co.jp/article/320268
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経済安全保障上の機密情報を扱う事業者らを身辺調査するセキュリティー・クリアランス(適性評価)制度の導入を柱とした「重要経済安保情報保護法案」が9日、衆院本会議で与野党の賛成多数で可決された。政府がどんな情報を機密として扱うのか明確になっておらず、多くの疑問は解消されないまま。審議は参院に移り、今国会で成立する見通し。(近藤統義)
◆与党が法案修正、立憲民主は賛成に
与党のほか立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、教育無償化を実現する会が賛成した。立民は、情報指定や適性評価の恣意(しい)的な運用を防ぐために国会が監視する仕組みがないとして、法案修正を要求。与党が応じたことで歩み寄った。
採決に先立つ討論で、立民の本庄知史氏は「具体的な制度設計が政令や運用基準に委ねられ、不明点が残る」としながらも「修正によって一定の評価ができる」と述べた。
◆共産「憲法違反そのもの」と反対
一方、共産党とれいわ新選組は反対し、立民会派に所属する社民党の新垣邦男氏は退席した。共産の塩川鉄也氏は討論で「適性評価は機微な個人情報を根こそぎ調べあげる。調査を拒否しても不利益を被らない保証はなく、事実上の強制。思想・良心の自由、プライバシー権を踏みにじる憲法違反そのものだ」と批判した。
法案は、政府が保有するインフラや重要物資の供給網に関する情報のうち、漏えいすると安全保障に支障を与える恐れがあるものを「重要経済安保情報」に指定。詳細は、法成立後に閣議決定する運用基準で定める。重要情報より機密度が高い情報は特定秘密保護法の指定対象とする。
重要情報を扱う会社員らは犯罪歴や家族の国籍などの7項目の身辺調査を受け、適性評価で資格を得る必要がある。情報漏えいには5年以下の拘禁刑などを科す。
◆人権やプライバシー侵害の懸念根強く
<記者解説> 政府が経済安全保障の名の下に、国家の機密情報を扱う会社員や研究者ら民間人の個人情報を調べて集め、管理する。そんな法案が大きな異論もなく衆院を通過した。制度の運用状況を国会が監視する修正を加えたとはいえ、適性評価の乱用はないのか。人権やプライバシー侵害の懸念はなお根強い。
適性評価に伴う身辺調査は精神疾患や飲酒の節度、経済状況など7項目に上り、質問内容は各項目でさらに細かく深くなる。11年前に世論を二分する形で成立した特定秘密保護法でも身辺調査を行うが、違うのは、対象がほぼ公務員に限られている点だ。
今回の法案で調査対象は民間に大幅に広がる。調査は本人の同意が前提というものの、配置転換が難しい中小企業などでは会社側の指示で事実上の強制になるケースも想定される。調査を拒否した人に対し、不利益な取り扱いをした会社側への罰則もない。
◆対象人数「数千人」の根拠も不明
政府に個人情報を提供することに抵抗感がある人は少なくない。個人情報は政府で一元管理されるが、本当に漏えいはないのか。想定される適性評価の対象人数について、政府は「数千人程度」との試算を出したが、根拠を説明していない。不安ばかりが残る。
経済安保の強化は、先端技術を巡る米中対立を背景に先進各国が注力する。経済界の要請もあり、政府は各国との連携に情報保全制度は不可欠と強調してきた。それならばなおさら、疑念を解消する責務がある。(近藤統義)
◆立憲民主「経済界が要望、反対しづらい」
野党第1党の立憲民主党は9日の衆院本会議で「重要経済安保情報保護法案」に賛成した。立民は民主党時代の2013年、同法案が素地とする特定秘密保護法に反対したが、今回は政府の情報指定を国会が監視できるように法案修正をした上で、賛成に回った。
今回の法案と特定秘密保護法は、政府が指定した機密情報の取り扱いを適性評価で認定した人に限定し、漏えいに罰則がある点で共通している。だが、岡田克也幹事長は9日の会見で「(特定秘密保護法とは)対象が全然違う」と強調。22年5月に成立した経済安保推進法や、新たな適性評価の導入検討を盛り込んだ同法の付帯決議に賛成したことも説明し、「その流れの中で賛成したということだ」と語った。
立民の法案責任者も「うちは経済安保は大事だという立場。その流れの中でやってきた」と語る。別の立民幹部は賛成した理由として、経団連や経済同友会も推進していた点を挙げ、「経済界が必要と主張する法案には、正直反対しづらい。世論も反対で盛り上がらなかったこともある」と明かした。(大杉はるか)
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経済状況や「飲酒の節度」まで民間人を調べ上げる「経済安保」法案
東京新聞
tokyo-np.co.jp/article/320268
■経済安保法が成立 国の企業活動への関与を強化、透明な運用に課題:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASQ5C4109Q5BUTFK00Y.html
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高度な先端技術の流出防止や、医薬品など経済や生活に欠かせない重要物資の確保などをねらう経済安全保障推進法が11日、参院本会議で賛成多数で可決され、成立した。政府が企業の設備を審査するほか、先端技術研究にも関与し、罰則も設けるなど国の介入を強めるものだ。公正で透明な運用をどう担保するかなどの課題があったが、国会審議で煮詰まらなかった。
経済安保法案ってなに? いまわかっていること、Q&A形式で解説
【連載】経済安保法案を読み解く
経済安保法は、医薬品や半導体などを安定的に確保するサプライチェーン(供給網)の強化、サイバー攻撃に備えた基幹インフラの事前審査、先端技術の官民協力、原子力や高度な武器に関する技術の特許非公開――の4本柱からなる。違反した企業などには最大で「2年以下の懲役か100万円以下の罰金」が科される。2023年以降、段階的に施行される見通しだ。
岸田政権が同法の整備に動いた背景には、米国と中国との先端技術をめぐる覇権争いがある。「軍民融合」を掲げる中国は民間の先端技術を積極的に軍事面に採り入れてきた。警戒を強めた米国のトランプ前政権は、中国通信大手・華為技術(ファーウェイ)が、中国の軍の影響下にあるとして、同社への半導体の輸出規制を強化した。日本でも自民党が主導し、情報や高度な技術が流出しないための法整備を求める声が強まっていた。
ただ、サプライチェーン強化の対象物資や基幹インフラの対象設備、特許非公開となりうる先端技術などは法律に具体的に記載されていない。国会審議では、政府が成立後に政省令で決める項目が138カ所もあることが明らかになった。
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経済安保法が成立 国の企業活動への関与を強化、透明な運用に課題:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASQ5C4109Q5BUTFK00Y.html
■経済安保法案 秘密の拡大がはらむ危険
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2024040600072
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秘密保護法制の拡大は、国による情報の統制と監視を一段と強める。その危うさについて掘り下げた議論がないまま、新法の成立を急いではならない。
政府が国会に提出した重要経済安保情報保護・活用法案である。衆院の内閣委員会が与野党の賛成多数で可決した。
特定秘密保護法による機密の保全に加え、産業経済の分野で国の安全保障に関わる情報の保全を図る制度改定だ。安全保障に著しい支障が生じる恐れがある情報は特定秘密とし、そのほかの重要情報を新法で機密指定する。
具体的にどんな情報が指定されるかは定かでない。機密の範囲が歯止めなく広がり、恣意(しい)的な情報隠しにもつながりかねない。
運用を国会が監視する仕組みが必要だとする野党の要求を受け入れ、内閣委で法案の修正がなされた。とはいえ、それが確かな歯止めになるとは考えにくい。
特定秘密に関しては、衆参各院に情報監視審査会が置かれているものの、権限は弱く、限界があらわだ。審査会が秘密情報の提示を求めても、政府は安全保障上の理由を盾に拒むことができる。そもそも監視の役割を果たせる仕組みになっていない。
特定秘密の漏えいは、最長で拘禁10年の厳罰が科される。新法の機密についても、漏えいに最長5年の拘禁刑を科すほか、特定秘密の場合と同様に、教唆や共謀も刑事罰の対象になる。
秘密法の射程を経済安保にまで伸ばすとともに、新法による情報の保全を外枠として組みつけることで、秘密の範囲は大きく広がる。しかも、何が秘密なのかは明確でない。知る権利が損なわれるばかりか、市民がいつ処罰されるか分からない怖さがある。
機密を扱う資格を審査するセキュリティー・クリアランス(適性評価)の制度も、新法によって民間企業や大学の研究者、技術者らが幅広く対象になる。犯罪歴、飲酒、借金、精神疾患といった機微なプライバシーが洗い出され、調査は家族にも及ぶ。
見落とせないのは、首相の下に設ける機関が調査を担うことだ。対象者の個人情報が一元的に集約され、監視国家化が進む恐れがある。調査が適正に行われているかを確かめる仕組みはない。
それは公安警察の権限の強大化と表裏一体でもある。情報の統制と監視の強化は社会を窒息させ、民主主義の根幹を揺るがす。国会の法案審議に注意深く目を向けていかなくてはならない。
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経済安保法案 秘密の拡大がはらむ危険
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2024040600072
■超!危険な「セキュリティクリアランス法」
http://repo.sdp-saitama.org/?eid=434
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9月21日、埼玉西部地区憲法講演会がウエスタ川越で開催されました。今回は弁護士、海渡雄一さんの講演。社民党も実行委員会に加わり準備をしてきました。
許可をいただきましたので、参加された方のフェイスブックから一部を要約して報告します。
川越市で開かれた弁護士・海渡雄一さん講演会。「岸田政権・戦争準備の悪法と闘う」を聴く。
前段の「闘いの報告」は自主避難者で福島原発埼玉訴訟原告代表の河井加緒理さんと「原発をとめた裁判官…」坂戸市上映会の報告を武井誠(坂戸市議)さんが行い、上映会収益金の一部が河井さんたちの訴訟と海渡さんたちが始めた汚染水訴訟へカンパ金として手渡された。
海渡さんは喉を傷めていたため、急遽武井さんとの対談方式で行われた。
海渡さんは最初に渡辺白泉の「戦争が廊下の奥にたっていた」の句を紹介。第2次安倍政権後、戦争遂行体制を地域の中に作りだそうとする戦争体制準備の法案が次々につくられ、すさまじい戦争協力を強いる同調圧力が始まっていると指摘する。「処理水」という一斉報道もまさに同調圧力の一端。2022年末、防衛三文書の閣議決定と先行していた南西諸島の軍事化が急激に進んでいると警鐘を鳴らす。
今回は戦争法から防衛三文書、土地規制法、経済安保法、セキュリティ・クリアランス法などの最新情報まで盛り沢山。レジメはなんと51ページに及ぶ。特に興味を引いたのがあまり聞くことがなかった経済安保法とセキュリティ・クリアランス法だ。二つに共通するのが中国を敵国としたこと。経済安保法では「国内から中国製IT一掃」を目指す。さらに半導体やパラジウムの貴重金属、抗生物質などの医薬品も対象に上げている。大川原化工機事件はその典型という。さらに恐ろしいのがセキュリティ・クリアランス法という束ね法案。秘密保護法の経済安保分野への拡大が狙いとされ、日本を死の商人国家に転落させる拡大秘密保護法案であり、原子炉等規制法も対象とされ、次世代革新炉の研究開発などが秘密のベールに覆われて、その批判が難しくなると指摘する。
最後に海渡さんは米中対立を戦争に発展させないためには、戦争準備をとめて話し合い、それぞれの国の民主制度。表現の自由を強めることが出来るかどうかにかかっていると提起。日中には二千年の交流の歴史があり、対立ではなく、日中友好を図ることが大切と語り、講演を終了した。
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超!危険な「セキュリティクリアランス法」
http://repo.sdp-saitama.org/?eid=434
■セキュリティクリアランス法案は大軍拡の基盤作り
https://sdp.or.jp/sdp-paper/sc/
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政府は今通常国会で「経済安保セキュリティクリアランス法案」(仮称)を提出する予定だ。
2013年12月に制定された秘密保護法では、防衛・外交・スパイ防止・テロ防止の4分野の情報保全を目的として、公務員等の身辺を「適正評価」の対象にできるとした。
提出予定の法案では、情報保全領域をサイバー・AI・宇宙領域などの経済安保にまで広げ、「適正評価」を「セキュリティクリアランス」(SC)と規定して、民間企業等の従業員の身辺までSCの対象にできるようにする。この法案は、政府が設置したSC有識者会議の「最終とりまとめ」や「自民党の提言」などを基に作成される。
米と軍産情報一体化
「経済安保版秘密保護法案」の国会提出に反対する集会が1月29日、衆院第二議員会館で行なわれ、約60人が参加した。主催は、「経済安保法に異議ありキャンペーン」と秘密保護法対策弁護団。
東北大学名誉教授の井原聰さん(科学技術史)は、今回の法案を考えるに際し、22年5月に制定された経済安保推進法の中に仕掛けられた「経済の国家統制」「防衛装備(兵器)の開発」「アカデミア(大学など研究機関)の軍事動員」に注意を促し、「米国と歩調を合わせることが大前提になっている」と指摘した。
井原さんは、この法案でSCの対象が民間企業や大学等研究機関にまで広げられることについて、「今後、科学・技術が国家に従属し、科学者や技術者の軍事動員が戦前のように展開していく」と警告した。
さらに、井原さんは次のように語った。
「このままでは、政府にとって都合の悪い情報が隠ぺいされて、民主主義は破壊され、監視社会になってしまう。情報まで含めて米国と一体化し、大軍拡政策の中で、軍事産業の基盤づくりが目指されるようになる」
秘密保護法の増強
秘密保護法対策弁護団事務局長の海渡(かいど)双葉弁護士は、同法案について、「本質は経済安保版の秘密保護法案であり、秘密保護法と全く同じ構図だ。要は、経済情報も秘密保護法の対象に加えるということだ」と指摘した。
SCの評価基準には、秘密保護法の規定と同様に、特定有害活動やテロリズムとの関わりのほか、犯罪歴や精神疾患・飲酒癖・薬物濫用歴や金融信用情報、さらには配偶者の国籍など外国との関係も含まれる。
その際、本人の家族・親族・同居人・上司・隣人・知人なども調査対象になることがある。
SCの際には「本人の同意が必要」とされるが、海渡双葉さんは「この法案が通れば企業側の人間が対象の大半となり、事実上、断れなくなるのでは」と懸念を示した。
また、会場からの質問に応える形で、「政府が民間企業から提供を受けて保有するに至った情報」について、海渡双葉さんは次のように語った。
「SC有識者会議の中で、何らかの付加価値が付いた場合には秘密指定の対象となり得ると言っている。だから、『保有』というのはかなりダウトだ(疑わしい)」
戦争への道の仕上げ
続いて海渡雄一弁護士が、秘密保護法について、「ものすごく反対運動が強かったせいで、(政府など推進側にとって)使いづらい法律になっている」と指摘した。その上で、今回提出予定の法案について、「(SCの)適用範囲を秘密保護法より大幅に拡張した上で、厳罰化はそのままにしようとしている」と注意を促した。
さらに、22年末に閣議決定された安保関連3文書の中で「中国は日本の敵」という趣旨が規定され、経済安保推進法と相まって、日本政府は中国系のITシステムなどを締め出そうとしている、と指摘した。
21年6月制定の重要土地利用規制法もこの一環であり、この流れの中に今回の法案があるという。
その上で、海渡雄一さんは「このままでは、戦争への暴走を止められなくなる」と警鐘を鳴らした。
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セキュリティクリアランス法案は大軍拡の基盤作り
https://sdp.or.jp/sdp-paper/sc/
■経済安保法案 日本を米戦略に組み込む
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik22/2022-04-03/2022040303_01_0.html
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経済安保法案 日本を米戦略に組み込む
国会審議で明らかに
岸田政権の重要法案である経済安全保障法案。「国家・国民の安全を害する行為を未然に防止するため」と言いますが、その実態は―。日本共産党の笠井亮、塩川鉄也両衆院議員による追及で、経済政策を国家安全保障の一つの柱として外交・防衛政策と並列で掲げ、軍事・経済の両面で日本が米国の世界戦略に組み込まれようとしていることが明らかになっています。(日隈広志)
企業の選別と監視強化
法案は、(1)サプライチェーン(供給網)強化(2)基幹インフラ強化(3)官民技術協力の推進(4)特許非公開の導入―の4本柱を掲げています。「外部から行われる行為」から国家・国民を守るとしていますが、自然災害や感染症、気候危機は含まれず、政府が指定する「特定重要物資」の対象に、食料やエネルギーは既存の法体系があるとして除外するなど、国民の生活実感からかけ離れています。
法案では、電気、水道など基幹インフラの事業者に、新設備の導入や維持管理の委託に関して納品業者や委託業者まで事前に届け出させ、政府が審査し勧告・命令まで行えるようにします。現在、政府調達においてIT設備導入や維持管理の際に行っている事前審査は、判断・審査基準も明らかになっていません。これを基幹インフラ事業者にも広げようというのです。
また、「特定重要物資」を供給する民間企業にも、供給先や取引先なども記載した安定供給のための計画を提出させます。
経済界からも懸念の声が上がっており、「下請け、取引先企業を選別、監視する仕組み」(笠井氏、3月25日)そのものです。
政官業の癒着をまねく
法案は、「特定重要物資」の供給事業者に営業秘密を含む情報を報告させる見返りに、支援策を用意しています。新たな生産設備、生産技術や代替物資の研究開発などに対して、新設の「安定供給確保支援法人基金」の助成を可能としています。この支援法人は業界団体が想定されており、基金の規模や補助の上限も未定で巨額となることも想定されます。「政府の判断で指定した特定重要物資に、特別な支援をおこなうことには、特別扱いの懸念」(塩川氏、4月1日)がぬぐえません。
また、法案は、「特定重要物資」、審査対象の基幹インフラの指定など重要な事項が138カ所も政省令にゆだねられており、「政府の一存で決まり、白紙委任だと言われても仕方ない」(塩川氏、3月23日)ものです。
そして、国家安全保障局(NSS)が国家安全保障政策としての外交・防衛政策と一体に経済政策をつかさどるよう体制を改変。この法案に基づく企画立案・総合調整、事務は内閣府が担いますが、NSSが“司令塔”となり、官邸トップダウンが強まります。
この仕組みのもとでは企業は政府の顔色をうかがうようになり、政官業の癒着が避けられません。
巨額の軍事研究開発費
法案は、AIなど先端的な「特定重要技術」の研究開発を推進する官民技術協力を盛り込んでいます。「指定基金」として想定されているのは、2500億円が計上された「経済安全保障重要技術プログラム」(21年度補正予算)。この基金を利用すると、自動的に「協議会」が設置され、政府から機微情報の共有など積極的な「伴走支援」が行われます。
その研究成果は、「関係府省において公的利用につなげていく」と明示。政府は軍民両用技術(デュアルユース技術)の強化を狙っています。笠井、塩川両氏の追及を受け、「協議会」への防衛省の参加を否定せず、研究成果が軍事技術として「将来的に防衛省の判断で活用されることはあり得る」と認めました。
また、これまで研究開発において設けられてこなかった、機微情報を扱う者に対する罰則付きでの守秘義務を課しています。このようなやり方では、「研究活動に大きな制約を持ち込む」(塩川氏、3月30日)ことになります。
参考人質疑(同31日)で、井原聰(東北大名誉教授)参考人は防衛省の「伴走支援」が「軍事研究推進になりかねない」と警告。競争的研究費を乱発すれば基礎研究がおろそかになると指摘し、「裾野の広い、自発的な研究土壌」でこそ人類の発展に寄与する学問が育つと訴えました。
また、法案には政府が指定する「特定技術分野」において特許出願非公開制度が導入されています。笠井氏は、民生技術が軍事技術に吸収されて戦争遂行に動員された戦前の秘密特許制度の復活に他ならないと断じました(同17日)。
日米一体の軍事力強化
経済安保法案が出てきた背景は何でしょうか。笠井氏は軍事、経済をめぐる米中の覇権争いが先鋭化しており、日本が米国の戦略に組み込まれていくと指摘。岸田首相らは「我が国として主体的に国益を確保していく」「米国の戦略に組み込むものではない」と繰り返します。
しかし、日米両国のサイバーセキュリティー能力を構築するとの合意(21年4月の日米首脳会談)のもとで、経産省所管の「産業サイバーセキュリティセンター」(IPA)ですでに、米国政府・軍関係者が講師となるなど、密接な関係にあることを笠井氏が明らかにしました。
岸田首相は今年1月のバイデン米大統領との首脳会談で、強固な日米同盟の下、経済安全保障で緊密に連携することを確認し、閣僚レベルの経済版2プラス2の立ち上げに合意しました。「(日米合意を)日本国内で推進するのが本法案ということだな」との笠井氏の追及に、小林担当相は「経済版『2プラス2』と経済安保法案は直接の関係はない」と繰り返し答弁する一方で「必要に応じて連携を図っていく」(3月25日)と述べています。
さらに法案は、日米一体となった軍事力強化の新たな枠組みとなる危険があります。特許非公開の対象となる「特定技術分野」の発明は、外国への出願も禁止。米国とはすでに、防衛特許協定を締結しており、米国の特許法により秘密とされている発明が日本で出願された場合、特許は公開が原則の日本でも秘密特許として扱い、自衛隊の装備品や武器生産の技術援助を受けています。
小林担当相は、笠井氏の追及に対し「これまで片務的なものだったのが双務的になる」とあけすけに日米同盟強化を語りました。
秘密保護法の拡大へ
この法案の先には、個人の身辺調査制度の「セキュリティー・クリアランス(適性評価制度)」の導入が検討されています。
小林鷹之担当相は、この制度について検討課題だと答弁しており、経済産業省産業構造審議会の小委員会では「セキュリティー・クリアランスを含む産業保全について検討すべき」と取りまとめられ、自民党内からも導入の検討が提言されています。
また、21年7月までNSS局長だった北村滋氏は「同法(秘密保護法)はあくまで国家内部に存する秘密の保全に主眼が置かれている」「今後、民間事業者を対象とした機密取り扱いの資格制度の導入が急がれる」と著書(『情報と国家』)に記しています。秘密保護法制の拡大につながり、「プライバシー、学問の自由の侵害、労働者の不利益取り扱いを含め深刻な人権侵害が生じかねない」(塩川氏、22年3月31日)問題です。
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経済安保法案 日本を米戦略に組み込む
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik22/2022-04-03/2022040303_01_0.html
■セキュリティ・クリアランス(適性評価)の危険な狙い
https://twitcasting.tv/keitarou1212/movie/786096305
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セキュリティ・クリアランス(適性評価)の危険な狙い
https://twitcasting.tv/keitarou1212/movie/786096305
■経済安保と「スパイ防止」の悪夢 ~ 軍事化
https://sdp.or.jp/sdp-paper/keizaianpo/
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今年5月に成立した経済安保法は「軍事研究推進法」「現代の国家総動員法」ともいわれ、安全保障を名目とした企業活動への過度な規制、学術研究の軍事化、市民監視の強化など、さまざまな懸念を抱かせるものだ。3日、参院議員会館で、「経済安保法に異義ありキャンペーン」「デジタル監視社会に反対する法律家ネットワーク」による集会が行なわれ、同法の危うさを識者らが訴えた。
スパイ防止法の危険性
山口大学名誉教授の纐纈厚さんは、「経済安保法にスパイ防止法のようなものを入れ込む」と高市早苗・経済安保担当相が発言していることを懸念。歴史的観点からスパイ防止法の危険性を説いた。
「戦前、日本が軍事国家化していくプロセスの中で、ハード面では軍装備を拡大し、ソフト面では、法整備が表裏一体で行なわれた。軍事国家となるには、自由な発言や運動、自由なメディアを抑圧する法整備が不可欠であった。1899年に軍事機密の漏えいを処罰する軍機保護法が公布された。権力を監視するメディアに対しても、新聞紙印行条例をはじめとして、いくつもの規制が相次いだ。出版条例で、自由な出版ができなくなり、許可制となった。これによってメディアが自己検閲するようになった。現在においても日本のメディアは自主規制がある程度、慣習化しているのではと感じる」
さらに纐纈さんは、「1936年に改正軍機保護法が成立すると、何でもかんでも『軍機』という枠組みに押し込んで処分していくようになった。その翌年に起きたのが日中戦争の契機となった盧溝橋事件だ」と述べた。
1941年に成立した国防保安法は「スパイ防止法の原型」だと纐纈さんは指摘。「権力側が勝手に決めた『国家機密』を漏らせば、最高刑は死刑。高市氏が経済安保法に追加しようとしているスパイ防止法も同じレベルのものを目指しているのではないか」と警鐘を鳴らした。
国家が個人情報を収集
続いて、井原聰・東北大学名誉教授が経済安保法で導入が検討される身上調査「セキュリティクリアランス(SC)」の問題点について解説した。井原さんは、「米国では、SCが、もはや『職業の資格』になっている」と指摘。「この資格を取るために、国防カウンターインテリジェンス保全庁の一元的で広範な身辺調査を受けなくてはならない」という。テロ等への関与や外国との関係、犯罪歴や民事訴訟、精神の健康状態、本人だけでなく家族や知人等の情報等が調査対象となる。井原さんは「機密に関わる研究者は身上調査の対象になる。例えば原爆開発のマンハッタン計画では、どこの図書館でどんな本を読んだかまで調査対象となった」と語り、国家が個人の情報収集をするという問題を指摘した。
また、井原さんは、経済安保法で機密研究を扱う官民伴走の協議会が検討されていることについて、「研究者の中には飛びついてしまう者もいるかもしれない」と、軍事研究が推進される可能性を懸念した。
大川原化工機事件のでっちあげ
海渡雄一弁護士は、「経済安保法はサプライチェーン強化、基幹インフラの安全確保、官民による先端技術開発、特許の非公開の4本柱で構成されている。重要なことは国会で定めるべきだと野党側が質問しても、与党側は『現時点で予断を持って言及することは避けたい』と開き直り、説明しない。法の運用は国会を通さない政省令に委任され、その数は138にも及ぶ」と指摘した。
経済安保法は、情報漏えいなどに対し2年以下の懲役や100万円以下の罰金を科すとしている。海渡さんは、「軍事に転用可能というレッテル張りをすれば、あらゆる技術が『秘密』にされかねず、すでに大川原化工機事件のような冤罪が起きている」と懸念した。大川原化工機事件とは、同社が中国に輸出した噴霧乾燥機が「生物兵器製造が可能」だとして、同社の役員らを逮捕、11ヵ月も勾留したもの。その後、検察は起訴を取り下げたが、「勾留中に亡くなった人もいた。こうしたことが中国と取引している企業のどこでもあり得る」と海渡さんは訴えた。
野党国会議員らも集会に参加し、発言した。社民党の福島みずほ党首は「軍事研究と学術研究が混在しながら、軍拡が進むことに危機感を抱いている」「軍需産業が巨大になればなるほど、原発がそうであるように、産業構造や政策の転換ができなくなり、戦争を望む国となってしまう」と述べ、「今ならまだ間に合う。国会の中で頑張っていきたい」との決意を語った。
(メモ)【経済安保法】今年5月に成立した「経済安全保障推進法」のこと。岸田政権の目玉政策の一つで、①サプライチェーン(供給網)の強じん化②基幹インフラの安全性・信頼性の確保③先端的な技術分野の官民協力④特許の非公開制度 の4本の柱からなる。今年8月から一部施行。情報漏えいに罰則も科す。同法の本質は、先端技術分野などで急成長を遂げた中国に対して、米国が自らの覇権を維持するため中国排除の政策を徹底し、日本を追随させるものと指摘される。
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経済安保と「スパイ防止」の悪夢 ~ 軍事化
https://sdp.or.jp/sdp-paper/keizaianpo/
■「安倍政治」の弊害 民主主義ゆがめた深い罪
毎日新聞 2020/8/30
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安倍晋三首相の辞任表明を受けて自民党では「ポスト安倍」選びに向けた動きが早くも始まっている。
党総裁選をいつ、どのような形で実施するのか。
近く正式に決まる見通しだ。
しかし、まず必要なのは、第2次安倍内閣発足後、7年8カ月に及んだ長期政権の功罪をきちんと検証して総括することだ。
それ抜きでは前に進めない。
安倍政権がなぜ、ここまで続いたのか。
最大の要因は、2012年、安倍首相が自民党総裁に返り咲いて以降、計6回の衆参両院選で全て大勝したことだろう。
ただし勝利の背景には、旧民主党政権が国民の失望を招いた後だったという有利な点が元々あったことを忘れてはならない。
安倍首相は「弱い野党」に随分と助けられてきたのである。
・対立あおり国民を分断
ところが首相は、選挙で勝ったのだから全ての政策が信任された――と言わんばかりに強引に突き進んだ。
再三指摘してきたように、集団的自衛権の行使を一部認めた安全保障法制や、「共謀罪」を創設した改正組織犯罪処罰法など、国民の間に反対論が根強かったにもかかわらず、与党の数の力を頼りに決着させたのが典型だ。
記憶に残る言葉がある。
「こんな人たちに負けるわけにはいかない」
17年夏の東京都議選の街頭演説で、安倍首相は退陣を求めて声をあげる一部の聴衆を指さして、こう言い放った。
自分にとって敵か味方か。国民を分断し、対立をあおる言葉だった。
民主政治は確かに、最終的には多数決で決する仕組みだ。
だが、その結論に至るまでの十分な議論が欠かせない。
そして、国民を分断するのではなく、可能な限り一致点を見いだしていくのが指導者の務めのはずだ。
異論や批判に耳を傾けず、相手を激しく攻撃して対立をあおる。
こんな「分断手法」が続いてきたのは、安倍政治の大きな弊害と言っていい。
この姿勢が、憲法で「国権の最高機関」と位置づけている国会の著しい軽視につながった。
国会をまるで内閣の下請けのようにしてしまった罪は深い。
そもそも首相には、野党議員も国民に選ばれた代表であるという認識が欠けていた。
権力の私物化が指摘された「森友・加計」問題や「桜を見る会」の問題を追及する野党に対し、首相は誠実に取り合おうとせず、同じ答弁を繰り返した。
結局、一連の問題の解明は進まなかった。
首相は絶えず「丁寧に説明する」と口にしてきたが、国民に対する説明責任を果たさなかったというほかない。
官僚が首相におもねる「忖度(そんたく)政治」がはびこっただけでなく、安倍内閣は検事総長人事にも介入しようとした。
内閣にとって都合がいい人物を捜査当局のトップに据えたかったのだろう。
実現はしなかったものの三権分立の大原則をゆがめかねない深刻な事態だった。
程度の差はあれ、歴代首相は国家権力を抑制的に使おうとしてきた。
だが安倍首相は「政治権力は最大限行使すべきだ」と考えていたと思われる。
検察人事問題には安倍政治の本質が表れていた。
・まずは検証と総括から
政権末期が近づいてきたのと軌を一にするように、前法相の河井克行衆院議員と妻の案里参院議員の両被告が公職選挙法違反で起訴され、公判が始まるなど自民党に所属していた国会議員の摘発も続いている。
何をしても許されるに違いないと考えていたのだろう。
長期政権は政治家の感覚もマヒさせてしまったのだ。
司法のあり方も含めて一刻も早く、三権分立がきちんと機能する政治に戻さなくてはならない。
「安倍1強体制」の下、自民党もかつてのような活発な議論がなくなった。
そんな中で迎える党総裁選だ。
「ポスト安倍」の候補として、菅義偉官房長官や岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長らの名が挙がっているが、真っ先に求められていることがある。
安倍政治の何を継承して、何を修正するのか。これを明確にすることだ。
それが、どんな国を目指すのかという具体的な議論につながる。
まっとうな民主政治を取り戻す道でもある。
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「安倍政治」の弊害 民主主義ゆがめた深い罪
毎日新聞 2020/8/30
https://mainichi.jp/articles/20200830/ddm/005/070/010000c
■「国家総動員法」とは? 国民を悲惨な戦争に巻きこんだ法律を知ろう【親子で歴史を学ぶ】
小学館 2021.9.13
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・1938年に日本で制定された法律
国家総動員法は1938(昭和13)年、第一次近衛文麿(このえふみまろ)内閣の下で制定された法律です。
当時の日本は、中華民国(中国)との戦争の真っ只中にあり、国内は完全に戦時体制に突入していました。
日中戦争の長期化が必至になると、政府は国力を総動員できる広い権限を持つことを必要としたのです。
国家総動員法の主旨は、「国内におけるすべての人的・物的資源を統制・運用する権限が政府にある」というものです。
制定以来、政府は議会の承認を得ずとも、「勅令(ちょくれい)」で労働力や物資を調達できるようになり、日本は「国家総力戦体制」を整えていきます。
・成立の裏には陸軍の強い圧力
国家総動員法の成立の裏には、陸軍の強い圧力があったといわれています。
日中戦争が勃発(ぼっぱつ)する直前、陸軍は「総動員法立案ニ対スル意見」を内閣に送り、総動員法の制定を促しました。
第一次近衛内閣は、「企画院」と呼ばれる内閣直属の官庁を設定し、国家総動員法の立案を行います。
国家総動員法案が議会に提出された際、衆議院や貴族院では、一部の議員が批判の声をあげましたが、軍の圧力に押し切られる形で可決されたのです。
八紘一宇の塔(宮崎市)。宮崎県立平和台公園にある塔で、1940(昭和15)年、紀元二千六百年記念行事の一つとして建立された。
「八紘一宇」とは、「全世界を一つの家にすること」で、第二次大戦中、日本が中国・東南アジアへの侵略を正当化するためのスローガンにされた。
・国家総動員法の内容は?
国家総動員法は事実上、議会に、政府の「白紙委任状」を要求するものでした。
政府はあらゆる資源を管理するとともに、国民徴用令(ちょうようれい)などの法令を次々に制定していきます。
国家総動員法の具体的な内容について見ていきましょう。
・政府が人や物などの資源を全面的に管理
国家総動員法の第一条には、「国家総動員トハ戦時ニ際シ国防目的達成ノ為国ノ全力ヲ最モ有効ニ発揮セシムル様人的及物的資源ヲ統制運用スルヲ謂(い)フ」とあります。
「国家総動員とは、国防目的達成のため、国の全力を最も有効に発揮するよう、人的及び物的資源のすべてを政府が統制運用する」という意味です。
第二条には、政府が統制運用する具体的な内容が記されています。
●軍用物資
●被服・食糧・飲料など
●医療機械器具・衛生用物資など
●船舶・航空機・車両・その他の輸送用物資
●通信用物資
●土木建築用物資・照明用物資
●燃料及電力
●上に挙げたものを生産・修理・配給・保存するのに必要なもの
●上に挙げたもの以外で勅令で指定する国家総動員上必要になる物資
・政府が自由に法律を制定可能
国家総動員法によって、政府は議会の承認を得ずに、「勅令」として自由に法律を制定できるようになりました。
「勅令」とは、天皇が発する法的効力のある命令のことです。
戦時中は、国家総動員法に基づく勅令として、数多くの法律が制定されます。
その代表格といえるのが「国民徴用令」です。
16歳以上45歳未満の男性と、16歳以上25歳未満の女性を、強制的に軍需産業に従事させることができる内容で、平沼騏一郎(ひらぬまきいちろう)内閣によって1939(昭和14)年に公布されました。
このほかにも、「生活必需物資統制令」や「価格等統制令」「賃金統制令」などが制定され、国民の経済活動の自由が奪われていったのです。
・国家総動員法が国民生活に与えた影響
1938年に制定された国家総動員法は、第二次世界大戦が終わるまで続きました。
本法により、日本国民は、どのような生活を強いられたのでしょうか?
・多くの人が戦争に参加させられた
国民総動員法によって、軍人以外の多くの国民も、戦争に巻き込まれることになりました。
太平洋戦争が始まり、国内の労働力が不足すると、政府は学生や生徒を「学徒勤労動員」として、農村や軍需工場に配置させます。
未婚の女子も「女子挺身隊(女子勤労挺身隊)」として、さまざまな労働に従事させられたのです。
戦争に無関係な民需産業の工員は、軍需産業に強制配置され、国内は戦争一色となっていきます。
1945(昭和20)年、国民徴用令や女子挺身勤労令など、五つの法令を一本化した「国民勤労動員令」が制定され、老若男女、病人までもが戦争へと巻き込まれていきました。
・物資が不足し、生活が苦しくなった
戦時中は、政府による「経済統制」が行われ、ガソリン・綿糸・砂糖・マッチなどの生活必需品が、段階的に「切符制」となっていきました。
国家総動員法では、軍需関連の生産が第一と考えられていたため、農業や繊維をはじめとする国内の民需産業は、次第に衰退していきます。
太平洋戦争に突入すると、物資の不足が著しくなり、米はもちろん、味噌や醬油、野菜までもが「配給制」になりました。
配給は、遅配や欠配が続いたため、町には非合法の闇市(やみいち)が出現したといわれています。
人々は、法外な価格で品物を手に入れるしかなくなっていったのです。
戦争が激化すると、「ぜいたくは敵」「欲しがりません勝つまでは」というスローガンを掲げ、人々は窮乏を耐えしのんでいました。
・言論の自由が奪われた
政府の統制は、経済面だけではなく、人々の思想や言論の自由までも奪っていきました。
1941(昭和16)年、近衛内閣は、国家総動員法の下に「新聞紙等掲載制限令」を公布します。
外交・経済・財政など、政策遂行に支障を来す恐れのある事項を、新聞に掲載することを禁止し、違反すれば、発売禁止や差し押さえなどの厳しい処置が取られたのです。
太平洋戦争が始まると、戦況の悪化にもかかわらず、日本が優勢であるかのように報道する「大本営発表」が繰り返されました。「大本営」とは、日本軍の最高司令部を指します。
情報操作は、戦局が激化するにつれて多くなり、日本国民は「架空の勝利」を信じ続けることになりました。
・全国民を戦争に引きずり込んだ法律
国家総動員法は、第二次世界大戦において、日本の総力戦体制の大本(おおもと)となった法令です。
軍部の圧力により、政府は帝国議会の承認なしで、国民生活のすべてを統制・運用する権限を獲得しました。
その結果、日本国民の生活からは、自由と平和が奪われ、悲惨な戦争へと突入していったのです。
現在の日本は、「国の在り方を決める権限は国民にある」という国民主権を採用しています。
戦争の反省を生かし、かつては国家主義的な傾向が強かったことも忘れないようにしたいものです。
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「国家総動員法」とは? 国民を悲惨な戦争に巻きこんだ法律を知ろう【親子で歴史を学ぶ】
小学館 2021.9.13
https://hugkum.sho.jp/269221
■アマゾンに日本政府のIT基盤を丸投げ
「政府共通プラットフォームは米国企業のAmazonが提供するAWSに移る」
「現在の日本政府は黒船Amazonの単なる客だ。しかも、国民や政府の機密情報が大々的に流出するリスク」
論座(朝日新聞)2020年09月28日
■クラウド政府基盤が稼働 アマゾンが食い込めた真相
「総務省が構築した中央省庁向けの「第2期政府共通プラットフォーム」がAWSのクラウド上で運用開始」
「中央省庁の行政の根幹に関わるシステム」
日経クロステック(2020年10月15日)
■デジタル・ファシズムへの不安 利便性の背後にあるものは~堤未果の警告・上
デジタル庁の発足で高まるIT化推進への期待の背後に垣間見える不都合な真実
「アマゾンはCIAやNSAなどの米国諜報機関との関係が深く、日本政府の機密事項が米国に筒抜けになる」
「アマゾンに限らず、グーグル、フェイスブック、アップル、マイクロソフトの「GAFAM」といったIT大手の持つデータを、米政府は令状なしで開示請求することもできる」
■デジタル・ファシズムへの不安 デジタル庁の発足で日本は……
■「共謀罪」ってなんだ? これを読めばちょっとは語れる!
あさがくナビ(朝日新聞) 2017年03月22日
■時代の正体〈438〉共謀罪考(上)自由との境界壊す悪法
神奈川新聞 | 2017年2月3日
■”天下の悪法”共謀罪法案が強行採決寸前、国会周囲で毎日昼夜に抗議活動―野党に審議拒否求める声も
Yahoo!ニュース 2017/5/16 志葉玲
■共謀罪施行は喉元をすぎた? 悪法による“権力の暴走”を食い止める3つのポイント
excite.ニュース 2017年08月03日 週プレNews
■まるで戦前の治安維持法? テロ対策の名を借りて復活した「共謀罪」の恐怖
ライブドアニュース 2016年9月29日 週プレNEWS
■「治安維持法が衣替えして復活している」…逮捕された100歳の生き証人が謝罪と賠償を求め続ける理由とは
東京新聞 2022年5月12日
■「共謀罪」と治安維持法、運用の危険性共通
朝日新聞 2018年03月05日
■共謀罪ー日本の刑事司法における大きな転換点
Yahoo!ニュース 2017/5/23 園田寿甲南大学名誉教授、弁護士
■安倍政権、違法な手続きで共謀罪成立の疑惑浮上…
Business Journal 2017.12.28 林克明/ジャーナリスト
■「共謀罪」の危険性を広く市民に知らせよう
懸念される、捜査手法の拡大と監視社会の到来
論座(朝日新聞)2017年01月18日 山下幸夫 弁護士
■テロ対策と五輪が“口実” 安倍政権が企む「共謀罪」の恐怖
日刊ゲンダイ:2017/01/07
■〈時代の正体〉「共謀罪」が生む監視社会 海渡雄一弁護士が語る
神奈川新聞 | 2017年1月20日
■証言 治安維持法「検挙者10万人の記録」が明かす真実 NHK「ETV特集」取材班著
東京新聞 2020年1月5日
■特定秘密保護法が濫用されまくるのは確実な理由について
Yahoo!ニュース 2013/11/26 志葉玲
■“世紀の悪法”と呼ばれる理由がわかった!『小説・特定秘密保護法 追われる男』が訴えるものとは
excite.ニュース 2015年03月03日 週プレNews
■政権で変貌、安全保障のいま
NHK 2019年12月11日
■<民なくして>「あの法律によって戦争をする国になってしまった」 安保法の是非を衆院選でも争点に
東京新聞 2021年10月4日
■プロから見て「安保法案」は何が問題なのか
法律の中身と首相の発言にズレがある
東洋経済 2015/07/20 美根慶樹
■安保法制成立で、再び戦争の時代に突入!? 昭和初期と現代「歴史は繰り返す」か?
2015.11.28
■安保法「命守らない政治、反対」37都市で抗議集会
毎日新聞 2016/3/29
■悪法を次々…安倍サンは国会も選挙もない国に変えたいの?
日刊ゲンダイ:2018/12/12 金子勝の「天下の逆襲」
■安倍政権、民主主義を破壊し、国家を蹂躙してきた7年間<100日で崩壊する政権・54日目>
ハーバー・ビジネス・オンライン 2020.05.25
■安倍晋三、コロナ禍に乗じて断行! 不要不急の「三大悪法」許すまじ
日刊大衆 2020.05.17
■菅首相の6人任命拒否で暴かれた、安倍前首相が犯していた憲法違反
まぐまぐニュース 2020.10.08
■改憲すれば戦時体制完成 今は「昭和3年」と酷似 内田博文・九州大名誉教授
毎日新聞 2019/9/24
■戦争動員総仕上げの共謀罪
長周新聞 2017年1月18日
■映画人269人が「秘密保護法案」反対 高畑勲監督らが呼びかけ
J-CASTニュース 2013年12月04日
■「映画愛する皆さん、反対を」秘密保護法案に高畑、宮崎監督ら呼びかけ
スポニチ 2013年12月3日
■【日弁連】秘密保護法・共謀罪法の廃止を求めます(秘密保護法・共謀罪法対策本部)
日本弁護士連合会
■「思想犯」にされた日々 95歳と96歳 治安維持法を語る
Yahoo!ニュース 2017/09/13
■現代社会は、強権国家、監視国家をどうコントロールすべきか
・「監視国家」に注目、IT活用で感染者追跡
・非常時に膨れ上がった国家の権限
論座(朝日新聞)2020年04月30日
■コロナ危機で、国家の「権威と権力」はさらに強大化する~グローバル化の「裏の顔」があらわに~
週刊現代 2020.04.28
■岸田政権の“改憲”の本命「緊急事態条項」はこんなに危ない! 災害対策には役に立たず独裁を可能にする自民党条文案の罠
excite.ニュース 2022年05月04日
https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_litera_12347/
■倉田真由美氏 “緊急事態条項”3月中に条文案取りまとめを警戒「恐ろしいことが着々と」
2023年3月12日 東スポWEB
■知らなきゃヤバい!緊急事態宣言と緊急事態条項の違いについて
2021/05/09
■憲法への新設が議論 「緊急事態条項」の危険性
2022/06/23 サンテレビニュース(兵庫県)
■伊藤 真 弁護士が語る「加憲」の危険性②「緊急事態条項」
2017/10/12
■『ナチスの「手口」と緊急事態条項』刊行記念 長谷部恭男先生×石田勇治先生 トークイベント
2017/10/03 集英社新書
■【緊急事態条項】9割の国民が知らない危険な中身
2023/01/19 堤未果 / 月刊アンダーワールド / 公式チャンネル
■憲法改正 古舘伊知郎が語る緊急事態条項の危険性 報道ステーション 改憲阻止!
2022/07/14
@neko_neko101
■欧米のプロパガンダに騙されるな! 欧米諸国は強権国家で帝国主義!:大地舜
2022/11/24
■戦前・戦時期日本の放送規制―検閲・番組指導・組織統制―
刊行物『NHK放送文化研究所 年報2020 第64集』
NHK:2020年1月30日
「言論の自由」という幻想:いま米国で起きていることに寄せて/下
「不自由」であると感じるところから議論をスタートしなければならない
論座 2021年01月25日 塩原俊彦 高知大学准教授
■私たちは戦前を本当に知っているか…落書から見えた「反戦」のリアル
特高警察は便所の壁まで監視していた
週刊現代 2019.08.21
■セキュリティ・クリアランスの危険な狙い
https://twitcasting.tv/keitarou1212/movie/786096305
■セキュリティ・クリアランス法案
https://vt.tiktok.com/ZSFWUXFkQ/
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