あいみょんの「大切な」言葉たち
父親が音響の仕事をやっているんですけど、昔からお家に楽器がたくさんあったんです。小さい頃はお父さんの職業もよく知らなかったですし、特に何も思っていなかったんですけど、兄弟が6人の中で私だけがなぜかギターをやりたいって言い始めて、最初にギターを手にとった時はカバーを歌っていました。挫折したり色々あったんですけど、始めて自分のギターを人からいただいて、それがきっかけで曲を作ろうって自然と思うようになりました。あとはおばあちゃんが歌手になりたかったらしく、そういう話も聞いていたのもあるかもしれないです。
コンプレックスからですね。勉強がすごく苦手で、漢字とか言葉をあまり勉強して来なかったので、自分があまりにも日本語を知らな過ぎることがコンプレックスでした。でも今は、純粋に(読書が)好きっていうものありますね。物語を自分の頭の中で映像化するのが楽しいんです。
私、大家族出身なので、例えばですけど…、自分がどうなってもずっと、「シャンプーは、残り少なくなったら水で薄めていたい」って思う感じ?ですかね(笑)。いまだにやりますし(笑)。そういう、すごいちっさいことでいいので、“日常のあるある”を持っていたいですね、ちゃんと。アーティスト活動をしていると、“雲の上の存在”ってみんなからよく言われますけど、そんなことは全然なくて。生活臭とか、人間味がある人の方が曲も面白いので、自分もそうなれたらうれしいなと思います。
私、音楽のことを話す時に「料理」に例えることが多くて。瞬間的なものを思い付いた時に掴むっていうのは「流しそうめん」と一緒だと思ってるんです。掴んであげないと流れていってしまうから。焦げ付かないように、「見逃さない」とか「火加減が大事」っていう部分でも、音楽と料理って一緒かなと思う。やっぱり、「おいしい」と言ってもらいたいので。
「青春と青春と青春」を入れようと思ったら、「あ、青春ってメッチャ言ってる」って(笑)。よく考えたら、私が「青春」って言葉が好きなんですよ。なんでも許される感があるというか。「あのとき、ピンポンダッシュしてムッチャ近所のおばちゃんを困らせた」とか言っても、「そうやな」って丸く収まるズルさがあるじゃないですか。
イタズラって表現になると思うんですけど、例えば好きな女の子に男の子がイタズラするって、恋愛丸ごとやと思うんですよね(笑)。これって、メチャメチャ青春やと思うし、子供のときしかできないじゃないですか。大人になってからやってたら、相当ヤバイですけどね(笑)。この曲の「カレーライスの匂いなんかで誰かを愛おしく思う」の部分は、私の実家の近くって夕方になると、鯖の煮付けかカレーライスの匂いがするんですよ。だから、今でもカレーライスの匂いを嗅ぐと実家に帰りたくなるし、きっとそんなイタズラも恋愛も、全てにおいて青春やって思いますね。
私、今まで「誰に憧れてたんですか?」って訊かれたら「浜田省吾です、尾崎豊です、吉田拓郎です、松田優作です。」って答えてて。もちろん憧れてますけど、実は私はこういう人間で在りたい!って言うための、自分への言い聞かせだったんですよね。でも、メジャー・デビューしてこうやって音楽を作り続けていく上で、改めて私はスピッツに憧れてたんやなって。なんだかんだ、年中聴いてるのはスピッツやし。
一人暮らしを始めた最初の夜は、鍵しめたっけな?って何回も確認しに行って、もうドアノブ潰れるんじゃないかってくらいガチャガチャやりました(笑)。あと、東京って地震が多いじゃないですか? 地震が来たらその揺れで部屋に人が入って来ちゃうって思うんですよ。ネット繋ぐのも……繋ぐのに人を入れなくちゃいけないじゃないですか。業者さんを。それがめっちゃ怖くて。引っ越してきてからずっとどうしようか悩んでたんですよ。でもネットないとヤバいじゃないですか? いよいよ勇気を出して繋ぎに来てもらった時は、ベランダの窓とか全開にしてました。いつでも逃げられるように、冬でしたけど(笑)。でもいい人でした。
あたしの出身は西宮で最寄りの路線が阪神電車なんで、阪神戦がない限りそんなに混まないんですよ。東京ってやっぱりすごくいろんな人がいるから。こないだもホームの壁のところにうずくまってる人がいたんですけど。そういう人見ると、コイツ絶対爆弾持ってるって思うんです(笑)。爆弾持ってるからあんなふうにうずくまってるんだと。今から爆発させるから心を落ち着かせてるんだと思ってしまうんですよ。それでそういう人を見ると、そいつからめっちゃ離れた車両に乗らなければ安心できない。あとは、暗めのサラリーマンが手をポケットに突っ込んだ時の怖さ。何を出すのか!?と思って。いやもう普通にスマホなんですけど(笑)。
出会いも多かったですし、新しいこともいろいろさせていただいて、毎日常に何かやってました。そういう中で考え方は結構変わったなって思って、止まることなく作品を作りたいっていう気持ちは、やっぱり自分が作家やからやなって思うようになりました。シンガーソングライターでもあるけど、それも全部ひっくるめて作家やから、特に歌詞はいくらでも書き続けられるなって。
私の楽曲を作る能力を信頼して頼んでくれるのは、ほんまありがたいなって。私は音楽自体を“作品”として作ってるので、それがもうひとつの“作品”とくっ付いて最強になる感じがするんですよね。
瞬間瞬間がすごく大事で、迷ってる暇がない状況やったんで、感覚でいくしかなかった気がして。あと、芸術は第六感が大事やなっていうのも思ってて、五感だけでは産めへんものがあるというか、もの作りに関しては自分の第六感が働いてる気がして。
23歳になって、昔からの友達とか家族は近くにおらんくて、怒られることも泣くことも少なくなったけど、あっけらかんと笑ってればいいことで、まだ自分が傷付くんやってびっくりしました。でも、感情を爆発させることも大事やなって。
しんちゃんは根っこは優しいですし、妹思いなんです。『嵐を呼ぶジャングル』を観てほしい。しんちゃんがすごいお兄ちゃんというのがわかる映画なんですよね。あと、しんちゃんが涙流すときとか、たまらないですね。涙のシーンは、『嵐を呼ぶ歌うケツだけ爆弾!』を観てほしいです。シロが連れていかれるんですけど、そのときしんちゃんが泣くんです。『歌うケツだけ爆弾!』ってタイトルがやばいですけど、泣けるんですよ。5歳児ならではのアホっぽさもありつつ、5歳って大人のことも理解しつつ、感情がしっかりしているなって思います
小さい子って無知であるからこそ、すごいことができるじゃないですか。野原しんのすけって好奇心が旺盛かつ可能性に満ちた5歳児で、そういうところは、私も忘れたくないなって感覚ですね。小さい子ってなにもわからないから、砂とか食べるじゃないですか。私が今、それをやっていたらやばいんですけど(笑)、5歳児ならではの可能性を秘めていて、そこは面白いなと思ってみています。
「作るからには残したい」という気持ちは、未だに変わらないです。何十年後も、みんなが知ってるし、歌えるし、聴かれているという音楽を作りたいなと思いますね。芸術は残らなきゃいけないと思っているので。よく美術館に一人でふらっと行くんですけど、絵を観るとより一層そう思うんです。絵とかだと、何百年も前の作品が残ってたりするじゃないですか。音楽でも童謡とか、誰が作ったかもわからないものが残っているのは、すごく素敵やなと思うんです。
活動的には。すごく売れたいし、聴いてほしいし。でも作品はすべてアートだなって思うし、どんな音楽も商業的な目で考えたことがないというか。商業的に音楽を作ろうと思ってしまったら、多分やる気をなくします。
意図して作ったものがそういう結果になるとは限らないし、絶対、狙いにいかないほうがいいと思っちゃうんですよね。結局、自分が歌ってて気持ちよかったり、「いい歌詞が書けたかもしれないな」って思う瞬間を大事にしたいというか。それは最近曲作りをしていても思いますね。
私、甥っ子と姪っ子がいないと生きていけないので、「死なないでいてくれればそれでいい」「ああ、もう、ほんまにお願いやから、命だけは落とさないでください」って、離れているからこそ余計に思います。元気よく育ってくれればそれでいい。それに尽きます。
家族が多いっていうのはデカイです。すでに大切な人が多いから、「これ以上増やしたくない」とすら思うことがありますもん。東京に出てきたときも、「友達とかいらん」って思ってたんですよ。それは、失くしたくない命が増えることはすごくしんどいなと思ったからで。そう考えるなかで、命を産み落とすというのはほんまにすごいことやなって思うから、妹とお姉ちゃんには逆らえない。甥っ子や姪っ子が生まれてきたときは感動しましたし。しかも、あれだけ痛い思いをして、「絶対もう産まない、もう痛いの無理」とか言ってても、また産むし。
今のうちにできるだけ親孝行したいなって。お母さんたちも「元気でいてくれれば、それが一番親孝行」って言ってくれるんですけど、できることがあれば今のうちにしてあげたいなって思うんです。
23歳って大人ですし、だいたいのことではもう傷ついてきたから、しょうもないことではもう泣かへんなと思ったんですけど、しょうもないことで1回泣いたんですよ。だから、悔しいこととかでまだまだ泣けることってあるんや、感動以外のことで泣けることってあるんやって思って。
恋愛が人間に与える影響力ってほんまにすごいなと思ってて、歌詞どおりなんですけど、人のことを好きになる前は明日が来ることが別に好きじゃなかったのに、誰かのことを好きになったら明日が楽しみでしょうがないとかなるじゃないですか。そういう作用、むちゃくちゃすごいなと思って。
不思議な活動をしてるなって思うんですよね。自分の思ったことを詞にして人前で歌ってるんですよ、変態じゃないですか(笑)。自分の曲を客観的に聴くと、「私、どうやってこんなの書いたんやっけ」とか「ほんまに私が作ったんかな」ってなるときもあるし。自分が作詞作曲してるんですけど、これをほんまに自分で書いたって証明できるものないなあとか考えたり……。
室内におることがすごく増えましたし、SNSの情報に踊らされている私たちかなと(普段から)思っていて…。世の中、自分の目で外を見てみないとほんまの事実なんて全部分からへんのに、みんな、画面ごしの情報に踊らされて、瞬間、瞬間に起きている色んなことを見逃してしまうのは、すごくもったいないなと思って。
変わらないとダメです、人間は。インディーズからずっとやっててメジャーに行って、例えば”紅白”にも出たりしたら、みんなが”メジャーに行ったら変わるよね”って言うんやけど、”え? メジャーに行って変わらへんのやったら、メジャーに何しに来たん?”と私は思っちゃうんですよ。それ世の中にすごく言いたいですね。変わることの方が面白いのに変われへんことを意識するって面白くないなって。ちっさいころ粘土遊びしたじゃないですか。その感じ。
もちろん、根本が変わらへんのはよくわかりますよ。私も絶対自分で作詞作曲するとか、そういうのはあるんですけど、人に見られることが多くなる=意識することも変わってきますし、それは変わっていかへんかったらあかんのになって思っちゃう。かっこいいと思うものも変わっていきますし、昔自分がやっていたことをダサいなと感じることもありますし。そういうのはやっぱ変化していかないとなと。
あいみょんとは?(人生・生き方・プロフィール・略歴など)
あいみょん。
1995年生まれ、兵庫県西宮市出身。
歌手になることを夢見ていた祖母やPAエンジニアである父の影響で音楽に触れて育ち、中学生の時から作詞作曲を始める。
中学2年生の時に作詞を始め、同じ頃に父親からエレキギターを渡されるものの、欲しかったアコースティックギターではなかったこともあって一ケ月も経たずにやめてしまう。
しかし中学3年生のときに学校に来ていたALT(Assistant Language Teacher)の英語教師が帰国する際にアコースティックギターを残していってくれたのがきっかけで再び弾き始める。
最初はひとりで教則本を見て簡単そうなものからチャレンジしていき、尾崎豊やスピッツなどの曲をカバーしていた。
高校1年生の頃から曲を作り始める。
在学中に同い年の地元の友人がYouTubeにアップしていた音楽番組に出演し、初めて人前で曲を披露する。
またその頃に友達が応募したオーディションで決勝まで進む。
高校卒業後、上記の映像を見た所属事務所の人間がTwitter経由で連絡を取ってきたことがきっかけでデビューが決まる。
2014年に所属事務所の社長によりワーナーミュージック傘下のレーベルunBORDEの代表・鈴木竜馬に紹介される。
最初のリリースはテストマーケティングとしてインディーズレーベルからと決まり、メジャーデビュー前にunBORDEによる作詞作曲やライブパフォーマンスを含めたトレーニングが始められた。
デビュー時点で親子の絆や性的真理など死生観に因んだ曲から恋愛模様までを歌った130曲ほどのデモ音源を持っていた。
2015年2月4日にリリースされたジャニーズWESTの3rdシングル『ズンドコ パラダイス』に収録の「Time goes by」で作詞家デビュー。
3月4日、タワーレコード限定シングル『貴方解剖純愛歌 〜死ね〜』でインディーズ・デビュー。
その過激な歌詞が話題となり、テレビ・ラジオ各局では放送自粛となるもオリコンインディーズウィークリーチャートで10位にランクインする。
5月20日、初の全国流通盤となる1stミニアルバム『tamago』をインディーズでリリース。
2016年2月16日、スペースシャワーが近い将来にブレイクが期待されるニューカマーを紹介する企画イベント『SPACE SHOWER NEW FORCE』出演の10組の中に選出される。
4月10日、「unBORDE」設立5周年記念イベント「Coca-Cola presents unBORDE 5th Anniversary Fes 2016」において8000人の観客の前で初ライブを行う。
11月30日、シングル『生きていたんだよな』でunBORDEよりメジャーデビュー。
デビューシングルにはスタッフ満場一致で女子高生の自殺をテーマにしたこの曲が選ばれた。
表題曲はテレビ東京のテレビドラマ「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」の主題歌に起用された。
またデビューした日である11月30日をファンが「あいみょんの日」、「いいさおの日(ギターの日)」と語呂合わせをした。
これを本人は運命的な日であると気に入っている。
2017年2月4日に公開された映画『恋愛奇譚集』に初の映画主題歌となる「漂白」を書き下ろした。
8月2日に3rdシングル『君はロックを聴かない』を発売し、全国AM/FMラジオ計42局で8月度のパワープレイ/ヘビーローテーションを獲得し、獲得数の記録を4年3か月ぶりに更新した。
9月13日、1stフルアルバム『青春のエキサイトメント』を発売し、2年以上オリコンチャートに入り続けるロングセールスを記録。
2018年4月、FM802の春のキャンペーン「FM802 X TSUTAYA ACCESS!」キャンペーンソング「栞」を歌う期間限定ユニットRadio Bestsellersに参加。
6月22日、初の海外公演となる「AIMYON TOUR 2018 -TELEPHONE LOBSTER-ADDITIONAL SHOW “TAIWAN”」を台湾・Legacy Taipeiにて開催。
現地で放送されたドラマ「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」の人気に乗じてその主題歌だった「生きていたんだよな」もヒットしたため、約1000人の会場は超満員だった。
8月8日、5thシングル『マリーゴールド』をリリース。
ストリーミングチャートで20週連続1位を記録。
10月12日に公開された映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』のダブル主題歌のうち、吉岡里帆演じるふうかの歌う「体の芯からまだ燃えているんだ」の作詞・作曲を担当。
12月31日に第69回NHK紅白歌合戦に初出場。
その選考理由について番組のチーフプロデューサー渋谷義人は、「配信で人気。10代、20代の方の“デジタルネイティブ”と言われている世代に人気で、今年の活躍が顕著」であると述べている。
本番では「マリーゴールド」を歌唱した。
2019年1月25日公開の劇場長編アニメーション『あした世界が終わるとしても』に主題歌「あした世界が終わるとしても」と挿入歌「ら、のはなし」を書き下ろした。
4月17日に映画『クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 〜失われたひろし〜』主題歌となった「ハルノヒ」を7thシングルとして発売。
5月31日公開の映画『さよならくちびる』の挿入歌「誰にだって訳がある」および「たちまち嵐」の作詞作曲を手掛けた。
歌唱は劇中に登場する小松菜奈と門脇麦が演じるキャラクターによる女性ギターデュオ・ハルレオが担当。
10月から自身最大規模となるホール・アリーナツアー「AIMYON TOUR 2019 -SIXTH SENSE STORY-」を開催。
2020年7月24日(23日深夜)、ニッポン放送にて特別番組『あいみょんのオールナイトニッポン』を担当。