ミクシィ(mixi)代表、木村弘毅:「自己破壊経営」とは?

ミクシィ(mixi)代表、木村弘毅:「自己破壊経営」とは?

「自己破壊経営」とは?

木村弘毅/ミクシィ(mixi)代表

 

「自己破壊経営」とは、成功体験に寄りかからず、常に新たな領域に挑戦していく経営スタイルのことです。

過去の成功を否定してでも、新しい第一歩を踏み出して行くスタイルを採ることで、非連続的な成長を実現できるんです。

 

 

木村弘毅とは?

 

木村弘毅。

東京都出身。

 

東京都立大学(のちの首都大学東京)工学部中退。

電気設備会社、携帯コンテンツ会社等を経て、2008年株式会社ミクシィに入社。

 

ゲーム事業部にて「サンシャイン牧場」など多くのコミュニケーションゲームの運用コンサルティングを担当。

その後モンスターストライクプロジェクトを立ち上げる。

 

2014年11月、執行役員就任。

2015年6月、取締役就任。

 

2018年4月、執行役員スポーツ領域担当就任。

2018年6月、代表取締役就任。

 

 

厳選!木村弘毅の珠玉名言

 

 

私自身、モンストの開発をしていた時は「ド素人がゲームを作ってヒットさせられるのか」と社内に反対もありました。ですが、知人や家族と集まって遊ぶ喜びを届けたいと寝食を忘れて取り組みました。パートナー企業も含めてたった4人で始めた企画でしたが、リリース後に子供から大人までが一緒に遊ぶ写真をSNSなどで見て、達成感に浸りました。従業員にもそんな喜びを体感してもらいたいのです。

 

 

 

私たちは、SNS(交流サイト)「ミクシィ」やゲームの「モンスターストライク(モンスト)」を世に届け、成長してきました。一方で、「SNSをやっている会社なんだっけ?ゲーム会社だっけ?」と、外部からは会社のイメージが分かりにくい部分もあります。ただ、根本には共通して「豊かなコミュニケーションの実現」という使命があり、それは変わりません。社長就任にあたって明確に打ち出す必要があると感じ、「コミュニケーションサービス」という事業領域を明確にしました。

 

 

 

そうしたときに、やはり“上司ファースト”といいますか、上司が言ってるからと自分が納得しないまま仕事を引き受けちゃうってこともあるでしょう。それだと「結局、なんのためにこの会議集まってんだっけ?」って気持ちがブレていっちゃうと思うんですね。だからもう、僕たちはとことんユーザーサプライズファーストを信念にしていこうと。とにかくユーザーサプライズが最優先なので、ユーザーファーストになるなってよく言ってますね。既存のお客様の声ばかり聞いていたらイノベーションは起きない。怒られてもいい、驚かしていこう。それは僕だけでなく会社として共通の目的です。人間って、ほっとくとディフェンスに回っちゃう人の方が多いと思っていて。だから、ユーザーサプライズファーストと掲げておくぐらいがちょうどいいっていうのはありますね。そうすると結果的にいい感じのバランスになります。

 

 

父は銀行の営業をやっていて、私は子どもの頃は「父のようにはなりたくない」と思っていたんですね。お金という、ある種「無機質なもの」「色のないもの」を取り扱って何が面白いんだろう??何でそんなことにエネルギーを傾けられるんだろう??と思っていました。だから、エンタメ業界に行きたかった。エンタテインメントで一番楽しいのは何かといえば、根源にあるのはコミュニケーションです。それをビジネスとして一番伸ばしていけるのはITだと思ってこの世界に入りました。

 

 

結婚を機に色々変わったような感じがあるのかもしれないですね。なんかこう、昔は逃げてばっかりだったと思ってまして。自分自身が。同居していた祖父が、厳しい人だったんです。毎日のように「光陰矢の如し」とか言われ続けてですね。(笑)とにかく勤勉に生きろと言われているなかで、「自分はなんてダメな人間なんだ」とずっと思っていました。そこから、結婚が契機だったかどうかは定かではないですが、ある程度歳を重ねて、「俺このままじゃダメなのかも」って思った瞬間があったと思います。ライフステージが変わったっていうことじゃないですかね。サービスを成功させて、もっとお給料をもらわなきゃと。世帯年収はこれで足りんのかな? とか、今俺ができることはなんなんだ? みたいな。そんなのはあったかもしれません。

 

 

パートナー会社と、オフィスを別々にして運営していたんですよね。そうすると、本来はユーザーの方を一緒に見てやるはずが、お互いのやりとりだけで精一杯になっちゃったみたいなところがありました。自分たちはコミュニケーションを創出する会社なのに、なんでコミュニケーションの部分でこんなに失敗してるんだろうって。だからこそ、今度なにかを作るときは絶対にひと所に集まってやろうと。そのコンプレックスというか、挫折の気持ちをぶつけたのがモンストだったんだと思います。

 

 

 

不平不満を持っているというのはすごく問題意識を抱えている人だと思いますね。「じゃあ、森山くんだったらどういうふうにしたら解決できると思う?」「森山くんなら、どういうふうにしたらいい?」と突ついてあげることで、大きく化ける可能性があると思います。人には2タイプあると思っていて、今あることを漫然とこなすタイプと、常に何かを考えて、現状に対して「物足りない」「つまらない」「打開したい」と考えているタイプ。成長させやすいのは後者だと思うんですね。

 

 

私が一番の収益事業を兼任するとなると、どっちつかずになる恐れがあったことと、誰もやってないところに飛び込んでいくのが性分なのかなと。変に空気を読まずにできるのが自分の特性だと思っていて、それがいいところでも悪いところでもあります。

 

 

必然性をもって生まれてきたのが「モンスト」だと思っています。私たちは今まで蓄積してきたノウハウがありますので、自分たちをコミュニケーションの専門家と自負している部分があり、なおかつ今は「フレミリー消費」というものを定義しています。「フレミリー」とは、フレンド(FRIEND)とファミリー(FAMILY)を掛け合わせた造語です。親しい家族や友人との消費活動について、私達はSNSの運営を通して身近に感じることが多く、また、プラットフォームの階層論みたいなものがあって、いままでのインターネットの歴史を見ると上の階層にどんどん主権者が移っていくという歴史があるなと考えていたんです。例えば、インターネットの登場以降、インターネットプロバイダがプラットフォームになって、ポータルサイトからいろいろなアプリが出てきて、その上に携帯キャリアというプラットフォームができてきて、その上にmixiとかgreeとかモバゲーとか、SNSのネットワークアプリが出てくるという階層概念です。その後、ソーシャルアプリケーションが多数出てきました。その歴史を見る中で、ソーシャルアプリケーションレイヤーで上場する企業が出てくるんじゃないかという議論がずっと社内であったんです。ネットワークアプリとしてmixiが影響力を失っていくなかで、我々がソーシャルアプリケーションレイヤーで成功するモデルというのを社内で語り続けていました。

 

 

 

人間というのは、コミュニケーションを最低限でもあり最高の欲求としているのではないかと思っています。下手をすると食事よりも。というのも、コミュニケーションの強さって、双方向のネットワークであるインターネットをここまで拡大させているわけじゃないですか。驚異的な勢いで瞬く間に産業構造を変えていくパワーを持っている。そこには、コミュニケーションに対する欲求が源泉にあるのではないかと思っています。それを受けながら私たちは仕事をしているわけでもありますから、もっともっと会社を通してコミュニケーションを追求していきたいと考えています。

 

 

 

当時エンタメ業界を志望していましたが「面白いとは何か」というのが考えていた時期があったんです。ゲームもカラオケもスポーツも食事も、何をしても楽しくて。では“楽しいとはなんだ?”と考えていて、その答えはコミュニケーションではないかと。友だちと何かをやっていたから全部楽しかったんです。今振り返ると単純なことなのかもしれませんが、そのときは大発見したぐらいの衝撃があって、それが体験として残っているというのはあります。

 

 

 

固定観念に囚われず、市場を「斜め」から見ることを心がけています。たとえば私たちは、モンストをゲームではなく、“コミュニケーションツール”と捉えており、開発当初から「遊びの空間の創出」を目標に掲げています。トランプやメンコなど、昔ながらの遊びには、みんなで取り組むものが多いですよね。対して「スマホゲームは1人向けのものが多く、みんなで遊ぶものが少ない」と気づいたんです。ここに隠れたインサイトがあると考えた結果、ゲーム性ではなくコミュニケーションの価値を高める点でユーザーの期待を上回るサービスをつくり出していきました。

 

 

本当に残酷な話ですが、全員が成功する未来はない。ただ、チャレンジなき成功はあり得ませんし、失敗したとしても多くの場合はなんとかなります。教訓を活かして新たな事業をはじめることもできますし、ミクシィみたいなメガベンチャーだと、起業経験のある方が中途入社してくれるケースも珍しくない。私も一度、ゲーム開発で大きく失敗した経験があります。それにも関わらず、「よくチャレンジさせてくれたな」と思うくらい、フルスイングして事業開発する機会をいただけました。そしてその再チャレンジが、後のモンストの大ヒットにつながったんです。

 

 

 

僕は気持ちが弱い人間なんですが、よく自分に言い聞かせるのが、「人はいずれ死ぬ」と。じゃあこれをやりきって死ぬ人生とそうじゃない人生、どっちがいいんだ?と言い聞かせて。あとはなんか、死んだら恥ずかしくないし、って。どうせ死んじゃうんでね。恥ずかしいもなにもないじゃないですか。

 

 

 

ミクシィ(mixi)創業者、笠原健治とは?

 

 

笠原健治。

ソーシャル・ネットワーキング・サービスのmixi創業者。

 

大阪出身。

東京大学経済学部経営学科卒。

 

求人情報サイト「Find Job」を開設し、イーマーキュリー(のちのミクシィ)を創業。

インターネットオークションサイト「eHammmer」をオン・ザ・エッジ(のちのライブドア)と共同開発したのち、SNSのmixiを開設。

 

同サービスを軸に会社を大きく成長させた。

2006年2月、社名を「株式会社ミクシィ」と変更し、同年9月に東京証券取引所マザーズ市場に上場。

 

2013年6月、取締役会長就任。

2018年4月、執行役員メディア領域担当就任。

 

 

厳選!笠原健治の珠玉名言

 

 

私も一人のクリエイターとして負けてはいられません。みずからの原点である「0を1にする」役割に戻って以来、様々なアイデアの事業化に向けて、現場の社員たちと日々奮闘してきました。

 

 

求人サイトFind Jobを開設し、蓋を開けてみたら、誰からも問い合わせがありませんでした。「つくっただけでは駄目なんだな……」と、つくづく思いました。それで、自分で電話営業することにしたのです。自社のホームページに求人情報を出している会社に、一件一件電話して、なんとか50件くらいの求人を集めたのです。サイトって、50件くらいの情報が集まると、自然とユーザーもついてくるんです。そのうち、実際に応募してくれる人も出てきます。この好循環に乗せるのに、しばらく時間がかかりました。

 

 

ビジネスを考えて、実行して、軌道に乗せるという循環が好きなので、いつでも新しいことがやりたいという思いはあります。これからも、お客さんの「あればいいな」という潜在ニーズを引き出して、サービスとして顕在化していきたいです。

 

 

 

どんな立場でも、実現したいことと問題意識さえあれば、やれるかやれないかは、自分次第だと思います。

 

 

 

私にとって仕事ができる人とは、できない理由を自分以外のところに求めるのではなく、自分で責任をもって決定し、道を切り拓ける人です。

 

 

 

インターネットのビジネスには「好循環」か「悪循環」か、二択しかありません。そして、どのサービスも、最初は悪循環から始まります。mixiもそうでした。最初は誰も使っていないから広がらない。広がらないから集まらないという状態です。だからこそ、好循環にもっていくまでには、エネルギーが必要です。

 

 

 

新機軸のサービスを売り出し、それがユーザーに喜ばれ、支持されれば、大きな成長を遂げることができる。それを定期的に生み出すことが連続的、非連続的成長に繋がる。

 

 

 

トップダウンでやっていく案件はあると思います。全体を見渡している経営陣がリーダーシップをとって何か新しいサービスを打ち出していくということもあるでしょうし、一方で社内の若い感性を活かした新企画を出してもらい、両方を合わせた形にしていきたい。

 

 

自分が最も価値を発揮できるのは0を1にすること。1を10に、10を100にする仕事は、それが得意な人たちに任せたい。「0を1にする」とは、言うまでもなく、新しい事業の創出であり、「1を10に、10を100にする」とは、創出した事業を経営手腕によって拡大成長させていくプロセスです。

 

 

私は、新しい事業を成功させる秘訣として、二つの理由が必要だと考えています。一つは、ユーザーがそのサービスを「使い始める理由」。もう一つは「使い続ける理由」です。私なりに考えて、たどり着いた答えが「つながり+コミュニケーション」でした。

 

 

「これはいける!」「世の中を変えられるんじゃないか」と、事業のアイデアを見つけた瞬間は、それはもうエキサイティングですよ。もちろん、アイデアを事業化するまでには様々な障害があり、実際にサービスとしてリリースできても、最初はたいていうまくいきません。それでも、ユーザーに使ってもらいながら修正したり、改善したりしていく苦労がまた楽しいし、いろいろと試行錯誤しているうちにある時、サービスがフワッと離陸したように感じられる瞬間が訪れる。私の中では、その離陸の瞬間の快感値が一番高くて、ほかの何物にも代えがたい。まさに「人の心をつかむ醍醐味」といっていいでしょう。

 

 

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