「ファナック株式会社」の経営理念・企業理念(ビジョン・ミッション・バリュー・スローガン・指針・方針など)
「ファナック株式会社」の企業理念
「厳密と透明」は創業以来のファナックの理念です。
厳密・・・企業の永続性、健全性は厳密から生まれる。
透明・・・組織の腐敗、企業の衰退は不透明から始まる。
ファナックのシンボル – 欅 –
ファナックの本社は富士山の麓、広さ53万坪にわたるファナックの森の中にあります。
風雪に耐えた太い幹から、今また、若い小枝をいっぱいに張り始めている。
しかもそれが明るく輝いている。
これは小柄でもがっしりと逞しいファナックが育ちその太い幹から五年後、十年後に新しい技術が生まれてくるだろうという期待と社員全員が誇りを持って巨人のごとき逞しさがある企業にファナックを育て上げていこうではないかという企業理念を表している。
「ファナック株式会社」の創業者・創立者『稲葉清右衛門』~生い立ち・名言・創業の想い・考え方など~
稲葉清右衛門(ファナック創業者)
稲葉清右衛門(いなば せいえもん)
1925年(大正14年)3月5日生まれ、茨城県筑西市出身。
1946年 – 東京帝国大学第二工学部精密工学科(旧造兵学科)を卒業。
1946年 – 富士通信機製造(現富士通)入社、茨城県下館工場配属。
1965年7月 – 東京工業大学において、論文博士で工学博士号を取得。
1972年5月 – 富士通の計算制御部から、富士通の子会社として独立した富士通ファナック(現ファナック)設立。
1974年 – 同副社長就任。
1975年5月 – 同代表取締役社長就任。
1995年6月 – 同代表取締役会長。
2000年6月 – 同相談役名誉会長。
東大工学部から富士通に入社し東工大で工学博士号を取得、MITが開発したNC(数値制御装置)の商品化に成功し、1972年富士通の計算制御部を分社化し「富士通ファナック」を設立した。
シーメンスやGEと提携して全世界へ販路を拡げ産業用ロボットにも進出、1976年株式上場を果した。
工作機械制御の基幹であるサーボモーターとCNCを一体販売し、NCプログラミングでGコードのデファクトを押えたことが強みとなった。
バブル期の財テクに手を出さず、逆に東京から富士山麓へ本拠を移し技術開発に専念。
工作機械用NCで世界シェア5割・多関節ロボットで2割を押えたファナックは海外売上高8割の国際企業となったが、技術流出と組織力分散を懸念する稲葉清右衛門は国内生産にこだわり、生産体制の集約とFA化で圧倒的な競争力と利益率を達成、主要輸出先の中韓取引では円建て決済を呑ませ為替リスクも排除した。
富士通において電気油圧パルスモーターや数値制御器の研究開発に従事し、NC工作機械の黎明期に大きな足跡を残す。
富士通の計算制御部から分離独立したファナックにおいては、経営者として同社をNC装置、産業用ロボットのトップメーカーとして育て上げた。
社長退任後も代表取締役会長、相談役名誉会長として、同社の研究開発部門をリードした。
精密工学会会長、日本ロボット学会副会長、日本産業用ロボット工業会会長等を歴任し、NC関係の標準化活動にも実績がある。
1987年エンゲルバーガー賞、紫綬褒章、藍綬褒章、勲二等瑞宝章。ブルガリアやルクセンブルク大公国からも勲章を受けている。
尚、ファナック代表後継は長男である稲葉善治氏。
稲葉清右衛門(ファナック創業者)の名言・考え方
技術者も必ず販売を経験すべきだということです。技術者がユーザーのニーズを知り、市場の動向を知ることはもちろんですが、販売を経験することで人間がひと回りもふた回りも大きくなるというのが私の経験的持論です。そんなわけで、私を技術的にも人間的にも大きく成長させてくれたのが、このNC 開発時代でしたね。
いつの日か自分が責任あるポストに就くようなことがあれば、電気でも機械でもそれぞれの技術者が存分に仕事ができるような環境をつくろうと。だから、私が初めて NC 開発チームのリーダーに選ばれたときも、最初に考えたのがこのことでした。
私は管理者としての条件を二つ学びました。一つは宣言したことは必ず実行すること、そしてもう一つは、管理者になっても必ず何%かは現場の仕事にかかわること、まずそれらをやらなければ人は統率できない。これが私の一貫した考えかたです。
まずプロセス制御分野からの撤退を決めました。そして、この部門にいた技術者は全員DNC、つまり、コンピュータ中心の NC 工作機械の群制御システム開発をやってもらうことにしたのです。後で考えると、このことがその後のファナック躍進の原動力になるのですが、私はこのとき、領域を絞ってそれに徹することが企業経営の基本だということを学んだと思います。
CNC の主な納入先は工作機械業界ですが、この業界は景気変動に大きく左右されます。これは設備産業の宿命なのですが、だからといってこちらも同じように影響を受けていたら、企業はいつまでたっても安定しません。そこで、CNC を始め基本商品の高性能化や応用製品の開発と同時に、経営的に売上げが1/3 になっても利益が出るような体質づくりを目指しました。
これからは一企業が自らの資源だけに頼って単独で競争するという“垂直型戦略”経済から、研究開発始め、製造、マーケティングまでコスト分担できるパートナーと組んだ“水平型戦略”経済にシフトしていくと予想したのです。だから、将来最も成功する会社は、アメリカ基盤でもヨーロッパ基盤でも日本基盤でも、とにかく世界的規模で水平的な協力関係を持つ企業じゃないかと考えたわけです。
「薄皮饅頭」をつくるには、まず皮と餡子が必要です。その名のとおり皮が薄いので、皮が厚いと薄皮饅頭にはならず、餡子の味とも微妙に関係してくる。でも、餡子が甘すぎるとおいしくない。皮の薄さに対して餡子の甘さがどのくらいなら最適か、それを判断するのが薄皮饅頭をつくる職人です。もし、薄皮饅頭の製造にコンピュータが使われているとしても、饅頭製造システムの主役はコンピュータではありません。ノウハウを持つ職人と薄皮饅頭そのものです。コンピュータの世界では、この職人のことを「システムエンジニア」と呼んでいますが、饅頭職人が長い間自分の目と舌で覚えてきた皮と甘味の微妙なノウハウをコンピュータに教え込むことができれば、コンピュータはそこで初めて饅頭づくりに参入できるわけです。
技術には歴史がある。しかし、技術者には過去はない。ただ創造あるのみ。
「ファナック株式会社」の沿革・歴史(年表・社歴など)
1956(昭和31)年
日本で民間初のNCとサーボの開発に成功
1958(昭和33)年
FANUC NCの商用1号機を(株)牧野フライス製作所へ納入
1959(昭和34)年
日本最初の連続切削NCを完成
電気・油圧パルスモータ第1号機完成
昭和35年より生産。以来、2018年10月2日サーボモータ生産2000万台達成。
1960(昭和35)年
連続切削用オープンループNCの一号機完成
1965(昭和40)年
歴史的なブームを巻き起こした直線切削用NCの一号機完成
1966(昭和41)年
世界で最初の全IC化NCを完成
1968(昭和43)年
世界で最初の実用化群管理システムを完成
1969(昭和44)年
完全モジュール化NCを完成
1972(昭和47)年
富士通株式会社よりNC部門が分離し設立、資本金20億円
CNCを発表
NCドリルを開発
1974(昭和49)年
ロボットを開発、自社に導入
米国ゲティス社とのライセンス契約により、DCサーボモータの製造販売開始
1975(昭和50)年
ワイヤカット放電加工機完成
ドイツ、シーメンス社と営業、技術に亘る相互援助契約を締結
1976(昭和51)年
シーメンス社との共同出資により、米国に GENERAL NUMERIC CORPORATION を開設
東京証券取引所市場第二部に上場
1977(昭和52)年
稲葉社長(現名誉会長)がSME(生産技術者協会)よりSMEエンジニアリングサイテーション賞を受賞
日野地区に自動化研究所を新設
米国に現地法人 FANUC AMERICA CORPORATION を設立
ロボット量産出荷開始 (ROBOT-MODEL 1)
1978(昭和53)年
韓国貨泉機工社との共同出資により合弁会社コリアファナック株式会社を設立
FANUC EUROPE S.A. を開設
1980(昭和55)年
ブルガリアに FANUC-MACHINEX JOINT OFFICE を開設
FANUC U.K. LIMITED を開設
FANUC GERMANY GmbH を開設
本社地区(山梨県忍野村)にロボットおよびNC工作機械製造工場を建設移転
1981(昭和56)年
ブルガリアの FANUC-MACHINEX JOINT OFFICEを FANUC-MACHINEX LTD に変更・設立
ファナックパートロニクス株式会社を子会社化
1982(昭和57)年
ルクセンブルグ大公国に FANUC MECHATRONICS S.A. を開設
技術研修所開設
米国ゼネラルモーターズ社との共同出資により GMFanuc ROBOTICS CORPORATION を設立
富士通ファナック株式会社をファナック株式会社に社名変更
ACサーボモータ完成
1983(昭和58)年
600グループとの共同出資により英国に 600 FANUC ROBOTICS LIMITED を開設
東京証券取引所第一部に上場
1984(昭和59)年
本社地区に本館、CNC工場、産機工場、基礎研究所を建設
東京都日野市より山梨県南都留郡忍野村へ本店を移転
純電子式プラスチック射出成形機 FANUC AUTOSHOT を完成
1985(昭和60)年
FANUC Series 0 完成
1986(昭和61)年
本社地区に中央テクニカルセンタ、ロボット組立専用工場、生産技術研究所を建設
ゼネラルエレクトリック社とファクトリーオートメーション分野における合弁会社設立の基本合意書に調印
米国ゼネラルエレクトリック社との共同出資により、GE Fanuc Automation Corporation を設立、同社の子会社である GE Fanuc Automation America, Inc. および GE Fanuc Automation Europe S.A. を順次設立
台湾に現地法人 TAIWAN FANUC CORPORATION を設立
デジタルサーボの完成
1987(昭和62)年
健康管理センタ及び開国歴史資料館を設立
炭酸ガスレーザを開発
1988(昭和63)年
商品開発研究所を本社地区に移転
1989(平成元)年
本社地区にレーザ研究所を開設
茨城県に筑波工場を建設
ファナックカルチャーセンタ完成
財団法人高度自動化振興財団を設立
1991(平成3)年
ドイツに現地法人 FANUC EUROPE GmbH を設立
システム工場完成
鹿児島県に隼人工場を建設
1992(平成4)年
商品開発研究所をCNC研究所、サーボ研究所、ロボット研究所、ロボマシン研究所の4研究所に分割
合弁会社 FANUC INDIA PRIVATE LIMITED を設立
GMFanuc ROBOTICS CORPORATION を当社全額出資の子会社とし、社名を FANUC Robotics Corporation に改称
合弁会社北京ファナック有限公司を設立
1994(平成6)年
大同股?有限公司および GE Fanuc Automation Corporation との共同出資により台湾に大同發那科自動化股分有限公司を設立
1995(平成7)年
GE Fanuc Automation Corporation との共同出資により、シンガポールに Fanuc GE Automation Singapore Pte. Ltd. を設立
1997(平成9)年
本社地区において新サーボモータ工場が稼働
合弁会社上海ファナックロボティクス有限公司を設立
1998(平成10)年
5月15日、モンゴル国のバガバンディ大統領が当社を訪問
コリアファナック株式会社を子会社化
ファナックサーボ株式会社を子会社化
1999(平成11)年
16iシリーズCNCの量産出荷開始
2000(平成12)年
板金工場および自然館完成
ファナック厚生年金基金を設立
FANUC INDIA PRIVATE LIMITED を子会社化
2001(平成13)年
新しい産機工場および調理センタ完成
2003(平成15)年
FANUC VIETNAM LIMITED を設立
ロシアに合弁会社ファナック三井オートメーションCIS LLC を設立
知能ロボットの量産出荷開始
30iシリーズCNCの量産出荷開始
2004(平成16)年
本社地区にロボショット研究所の建屋を新たに建設
ヨーロッパのサービスおよびセールス(ロボマシン)の体制を再編し、サービスを統括する FANUC EUROPE GmbH およびセールスを行う FANUC ROBOMACHINE EUROPE GmbH を設立
GE Fanuc Automation Europe S.A. を再編し、CNCシステムに関する事業会社として Fanuc GE CNC Europe S.A. を設立
FANUC CZECH s.r.o 設立
2005(平成17)年
名古屋支社を開設
本社地区において新サーボモータ工場を新たに建設
合弁会社 FANUC ROBOSHOT EUROPE GmbH を設立
2006(平成18)年
新しい成形工場完成
FANUC HUNGARY SERVICE および FANUC ROBOMACHINE FRANCE 設立
FANUC EUROPE SERVICE GmbH が FANUC EUROPE GmbH へ改称
2007(平成19)年
FANUC SOUTH AMERICA SERVICE LTD 設立
GE Fanuc Automation Americas, Inc. の社名を GE Fanuc Intelligent Platforms, Inc. に変更
ファナックFAサービス株式会社、ファナックロボットサービス株式会社およびファナックレーザサービス株式会社が合併し、ファナックサービス株式会社が発足
FANUC POLAND SERVICE LTD 設立
FANUC NORDIC SERVICE AB 設立
筑波工場のカット工場(曙杉の工場)及び名古屋テクニカルセンタ竣工
ファナック三井オートメーションCIS LLC を当社全額出資の子会社とし、社名を “FANUC AUTOMATION” LLC に改称
2008(平成20)年
FANUC SWITZERLAND SERVICE GmbH 設立
ファナックのローマ風呂竣工
筑波地区に機械加工工場を新たに建設
本社地区に新CNC工場を新たに建設
FANUC ROBOSHOT EUROPE GmbH を子会社化
2009(平成21)年
ゼネラルエレクトリック社との合弁を解消。これに伴い、アメリカとヨーロッパにおけるCNCのセールスとサービスを行う会社を再編し、FANUC FA AMERICA CORPORATION と FANUC FA Europe S.A. が発足。
パラレルリンク型ゲンコツロボットの量産出荷開始
2010(平成22)年
FANUC FA Europe S.A. が FANUC EUROPE GmbH を吸収合併
FANUC ROBOMACHINE EUROPE GmbH が FANUC ROBOSHOT EUROPE GmbH を吸収合併
2011(平成23)年
本社地区に新ロボット工場を新たに建設
2012(平成24)年
FANUC Robotics Europe S.A.、FANUC FA Europe S.A. および FANUC ROBOMACHINE EUROPE GmbH 3社を統合し、FANUC Europe Corporation を発足
ファナック健康保険組合を設立
筑波地区に新ロボドリル工場を新たに建設
2013(平成25)年
FANUC Robotics America Corporation および FANUC FA AMERICA CORPORATION 2社を統合し、FANUC America Corporation を発足
2014(平成26)年
栃木県壬生町に工場用地を取得
2015(平成27)年
協働ロボットCR-35iA 完成
ファイバレーザ開発
ロボドリル累計20万台出荷
ロボット累計40万台出荷
2016(平成28)年
ロボショット累計5万台出荷
CNC累計360万台出荷
壬生工場完成
2017(平成29)年
ロボット累計50万台出荷
2018(平成30)年
FANUC ACADEMY完成
筑波地区に新ロボット工場を建設
新会社である上海ファナックロボマシン有限公司が上海ファナックロボティクス有限公司からロボマシン部門を引き継ぎ、新たな連結子会社として事業開始
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