リーダー3つの必須能力とその3つの役割
堀義人/グロービス創業者
リーダーに必須の能力は3つ。
様々なビジネスに関わる知識や定石を身につける「ビジネスフレームワーク」、的確に状況を分析し、本質を捉えて行動する「コンセプチュアルスキル」、人間的魅力があり、伝える力がある「ヒューマンスキル」です。
コンセプチュアルスキルは「考える力」、ヒューマンスキルは「人を巻き込み、引っ張る力」と考えてください。
僕の考える「リーダー」の役割は3つあります。
まずビジョンを描き戦略を作って、結果に責任を負うこと。
次に企業を取り巻くステイクホルダー(企業の利害関係者)とコミュニケーションすること。
最後に組織文化を形成し、理念を浸透させ従業員をやる気にさせることです。
堀義人とは?
堀義人。ビジネス大学院経営とベンチャーキャピタルのグロービスグループ代表。
京都大学工学部卒業後、ハーバード大学でMBA取得。
住友商事に入社し新規事業開発の実務を経験し、ベンチャーキャピタルのグロービスを設立。
その後も1996年にグロービス・キャピタル、1999年にエイパックス・グロービス・パートナーズを設立と事業を拡大していき、2006年にはグロービス経営大学院も開学。同校で自ら講師として活躍する他、若手起業家が集うYEO日本初代会長や米国ハーバード大学経営大学院アルムナイ・ボード(卒業生理事)、日本プライベート・エクイティ協会理事などを歴任。
日本ベンチャーキャピタル協会理事などを務めている。
グループは現在400億円規模の3つのファンドとなり50社以上のベンチャー企業へ投資を行っている。
またグロービス経営大学院は文部科学省から大学院大学として許認可されている。
主な著書に「グロ-ビスMBA事業開発マネジメント」「吾人の任務 MBAに学び、MBAを創る」「創造と変革の志士たちへ 真の実践力を身につけるための「自分の磨き方」」「人生の座標軸 「起業家」の成功方程式」「成功するキャリア・デザイン 「やりたい仕事」は自分でつくれ」などがある。
厳選!堀義人の珠玉名言
グローバル人材に必須の能力は3つ。1つは、国際的に通用する言語である英語を扱う力。2つ目は、国際的視野。そして3つの中でも、特に重要なのが異文化コミュニケーション力。
MBAで学べるポイントは3つある。フレームワークやマーケティング理論といった「経営の定石」。その定石に基づいて優先順位を決め、計画に落とし込んでいく「意思決定」。最後は自分の考えを適切に伝える「コミュニケーション能力」。
起業で重要な要素は「ヒト、カネ、チエ」。
自分の考え方を変えたんです。可能性を信じよう。無限大の可能性が自分にはあるんだ。と考えていくと同時に、自分自身の経営に関する考え方も鍛えていく。つまり、ベンチャー的なマインド、志を持つという発想と、頭脳や能力を鍛えていくこと。その両方をやっていこうと考えました。
成功には「短期的成功」と「長期的成功」があります。成功を長期的に伸ばしていくことができる人はなかなかいないんです。短期的に成功すれば長期的にも成功できるんだと思いがちですが、実際には、短期的に成功した人が必ずしも長期的に成功するとは言えないんです。
英語で「ウォームハート・クールヘッド」と言うんですが、意識面では高い志や高いビジョンで目標設定しながらも、頭の中では冷静に戦略や計画を作っていく。そういった両輪を持つことが重要です。
私が囲碁を始めたのは、尊敬する織田信長が囲碁を打っていた真意を理解したかったからです。合理的で一刻の時間も無駄にしなかった信長が、趣味で囲碁を打つとは考えにくい。しかし、対局を重ねる中で、囲碁は意思決定の訓練になると感じました。限られた資源の中で決定を下す囲碁は、戦をやっている人間にとって、擬似体験の場となります。そして、経営と囲碁は限りなく近いものです。複雑性が高い経営の世界から、複雑なものを省いて単純化したあとには、碁盤の黒石と白石の世界が残ります。
長期的成功でまず大きなことは、人間力があるかどうかです。何のために自分がこの事業をやるのかという動機から始まって、どういった志や倫理観をもって事業を行っているのか、自分の事業に対する使命感は何か、あるいは、度量の大きさ、どんな場面でも冷静沈着に意思決定ができるという力、人を巻き込んでいく能力に至るまで人間力の部分が大きいと思います。
世界中のみんなが考えていることが同じだったら面白くないわけです。やはりそれぞれ違う視点から見るから面白い。その違う視点というのが固有のユニークさです。
創造と変革のチャンスは、どこにでも転がっている。
最後は頭の善し悪しではありません。気概です。
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