高橋留美子(うる星やつら・めぞん一刻・犬夜叉など)の「大切な」言葉たち~高橋留美子の名言・人生・生き方など~

高橋留美子(うる星やつら・めぞん一刻・犬夜叉など)の「大切な」言葉たち

とてもとても内向的で、想像にふけっているようなとてもおとなしい子でしたね。手塚先生の少女まんが「リボンの騎士」なんかの大ファンだったんですよ、小学校にあがりたての頃というのは。それで、キャラクターを頭のなかで動かして遊んだり……誰でもそういう体験あると思うんですけど。

ラムは一番作り込んだキャラクターですね。かわいさが第一と思って描いていました。劇画村塾で作った短編の宇宙人がもとになって。虎柄の服と電撃は雷様のイメージから。そこはシンプルな発想なんです。〝だっちゃ?は、編集さんのアドバイス。『勝手なやつら』の半魚人がなまっていて、ラムもそうしたらいいんじゃない、と。私、井上ひさし先生の『青葉繁れる』が好きなんですが、仙台の物語で〝だっちゃ?が出てくるんです。それを使わせていただきました。

「めぞん一刻」で感情移入するっていうのは、よくわかるんです。大の男が女一人に6年もかけてね(笑)………、それだけの話なんですから。ほかに目標があったわけでも何でもない。一人の女を落とす男の話に、6年もかけて(笑)、志が低いとかいわれてもしょうがない部分があったりするわけじゃないですか(笑)、そんな話に私も入れこんだし、読者も入れ込んで下さった。

女の方が絵になりますし。やっぱり美しいものの方が書いてても気分いいですから。で、ダメ男が何かバカなことをしでかして、美女がそれに反応するっていうパターンが、まー、きっと性に合ってるんですね。

作品の面白さは、描いてみて反応をもらえないとわからない。「わからなくても、これを描かなくちゃ続けられないんだな」っていう怖さがありました。そういう“保つ”恐怖は感じたんですけど、でもやっぱりサンデーに載るうれしさが先に来ましたね。

キャラクターとなる要素はさまざまにあるし、作者の試行錯誤の結果“立ったキャラクター”は無数にいて、それぞれが正解です。だけどほかの人が考えて発表したものは新味がないので、既に出た正解は使っちゃいけないものになる。ですから答えはどんどん減ってゆくのだけれども、そんな中でも、キャラクターづくりの決まりごと・方程式はあるのだな、とわかってきました。

ハッピーエンドであることにはこだわってます。結末はその方向で決まってるんだけど、そこに至る過程というのは、できればなるたけバタバタしてたほうがいい。そうすると、ダメな人がいっぱい出てくるんです(笑)。自分の中で、愛せるダメな人たちですけどね。

読者だと人のマンガに好きなことを言えるじゃないですか。載り始めたら一切それがなくなって、尊敬しかなくなる。なぜこの作家たちが載っているのかがわかるんです。そういう、プロとアマのラインが身に迫ってくる。

若手の面白い人が出てくるのが楽しみだというのもありまして。青年誌も送っていただいたものはなるべく目を通しているんですけど、どの雑誌も必ず読みたくなるマンガがあるんです。やっぱり、紙媒体であることが私にとっては大切で。“本をめくる”っていう面白さ、それを自分の中で大切にしていきたいなあって思っているんです。

(「うる星やつら」について)ラムみたいに明るく裏表のない性格は、自分からはかけ離れていますね。

(「めぞん一刻」について)私が抱いている、オンナの理想像といったらいいかなァ。要するに、ほんとうのオンナというのは、こうあるべきだといった……。あるいは、自分がなれなかったオンナというんですかね。

(「めぞん一刻」について)四谷さんというのは、昔からそんな人が好きだったんで、なんとなく描いてしまったんです。あれはいかにも“自分がつくったキャラだ”という気がします。 実際にいたら嫌ですけど(笑)。描いている分には、とても興味深いというか、どこかしら好きですね。

(「らんま1/2」について)男の子から女の子への変身ものをやりたかった。その時、銭湯ののれんが頭の中をふとよぎって、『これだ!』と。

(「らんま1/2」について)『らんま』のころから女の子の読者が増えて、ものすごく手紙をくれるようになった。『犬夜叉』もそうでした。

(「犬夜叉」について)世界征服とか、私にはピンとこない。『恋敵をネチネチいじめたい』という方がわかりやすいじゃないですか。支配より破壊、『みんな死んでしまえ』というのが奈落。本当は、だれかに愛されたかっただけかもしれませんけど。

(「犬夜叉」について)かごめは、私のヒロイン史上、最も心の広い女の子になりました。

(「犬夜叉」について)桔梗というキャラの情念を描きたい。一度死というものに出会って、次に生き返ったとき、今まで正義とか巫女とかいう型に嵌められていた精神や魂がはじけ飛んで、フラフラと感情のままに生きる姿を描きたい。

(「境界のRINNE」について)れんげは素直に架印が好きで、それを誰かに気づかれたくないというピュアな一面があるのでリアクションはたくさんとれる子でした。架印は恋愛に関しては無頓着です。なので最終回も架印の職場でれんげが働いていますが、その先は全くわかりません。この二人は自分なりにほのぼの描けて良かったです。

(「境界のRINNE」について)作中で扱っているのが、人の死だったりするんですけど、あんまり湿っぽくするのも嫌で、バカばっかりなんですけど、敬意というか、ちゃんと向き合いたいなというのはあったんです。それなりに納得して逝ってもらえればいいかなって。見たあと嫌な気持ちにならない、というのが一番大切です。

やっぱりね、私はマンガは売れた方が良いと思うんです。それはイコール楽しい、面白いってことじゃないか、っていうのがあってね。わかる人がわかってくれればいいとか、同人誌じゃないと描けないネタがあるとか、そういうのは嫌なんですよ。そうじゃなく、自分がすごい描きたいものを一般誌で描いて、大勢に読んでもらったほうがいいじゃん、っていうのはすごい思ってたし、今でも変わってない。

世の中は、どんどんある種ガサついてきていますよね。でも、マンガは基本的に変わっていないと思うんです。マンガはマンガです。だから、マンガを読んでいる間は世の中のさまざまなことは忘れて、その世界を楽しんでいただけたらなと思いますね。

自分が女なのに『少年サンデー』を読んでワクワクした思い、みたいなのがあって。それはずっと忘れていないんです。だからもしもね、女の子で、『サンデー』買うのははずかしいけど、私のマンガを読みたいなと思ってくれるのであれば、それはすっごく嬉しいことなんですよ。

『めぞん一刻』は、比較的描きやすかったですね。私自身の性格が響子さんと五代君を足して二つに割ったようなところがありますから。優柔不断だったり、わがままだったり(笑)

笑ってもらっても、泣いてもらってもいいんですが、読者にはリラックスしてほしい、とにかく楽しんでほしいというのが一番の願いです。

私は作品を見ると読者になっちゃうほうです。

自分が完璧な人間を描けないのもありますが、どこか足りない人が愛せるんです。

高橋留美子(うる星やつら・めぞん一刻・犬夜叉など)とは?(人生・生き方・プロフィール・略歴など)

高橋留美子。

新潟市中央区古町で産婦人科医院を開業していた高橋家の末っ子(2男1女の長女)として生まれる。

父、高橋光雄は「高橋卯木」の俳号を持つ俳人でもあった。

医院の創設者である曽祖父、高橋辰五郎は明治時代に大阪の産婦人科医、緒方正清(緒方洪庵の義理の孫)の元で研修し、帰郷後は新潟県の近代産婆(助産師)教育に貢献している。

幼少期から兄の持ち物であった少年漫画を愛読し、中学の頃から『週刊少年サンデー』・『月刊漫画ガロ』などに作品の投稿を始める。

高校在学中、同級生であった近藤ようこと共に漫画研究会を設立、同級生にはアニメーターの後藤真砂子もいた。

またこの頃から筒井康隆を愛読するようになり、影響を受けてスラップスティックなSF作品を描いていた。

2年生の時に40枚ほどの作品を『週刊少年マガジン』に投稿するも落選、一時は漫画家になるのを諦めたという。

新潟県立新潟中央高等学校を卒業後、日本女子大学文学部史学科入学。

「ダメな子供だから、親元にいたらダメになる一方だ」という父の考えで独立し上京。

大学では同人作家としても活動し、目白花子と漫画研究会「(没)」を設立。

会誌『びびっと』上などで作品を発表していた。

その一方で大学1年生の終わり頃から劇画村塾に入学し小池一夫に師事、小池に「お前はプロになれる」と声をかけられすぐに特別研修生となる。

在学中の1978年、投稿作「勝手なやつら」で第2回小学館新人コミック大賞少年部門佳作を受賞。

この時期、同年からSFコメディ『うる星やつら』の連載を開始。

約1年半の不定期連載の後、大学卒業を機に同人作家から本格的に漫画家に転身することとなり、1980年春から同作品の週刊連載を開始。

同年秋から並行して、青年誌にて『めぞん一刻』を、連載開始。

1987年まで、2つの連載をこなした。

1981年、第26回小学館漫画賞少年部門(『うる星やつら』)、1987年、第18回星雲賞コミック部門(『うる星やつら』)を受賞。

1987年冬に「うる星やつら」、春に「めぞん一刻」の両作品が相次いで終了し、同年夏から格闘技を題材にしたコメディ『らんま1/2』の連載を開始。

同年、週刊ヤングサンデー『1ポンドの福音』不定期連載開始。

1989年、第20回星雲賞コミック部門(『人魚の森』)受賞。

1995年、単行本世界累計1億部突破。

1996年冬に『らんま1/2』終了、同年秋から『犬夜叉』の連載を開始。

かねてから興味のあった伝奇ものの本格連載で、この作品ではギャグ要素を減らしたシリアスな路線を取った。

2002年、第47回小学館漫画賞少年部門(『犬夜叉』)受賞。

2008年夏に同作品を連載終了、翌2009年春から連載を開始した『境界のRINNE』では、バトル要素を残しつつ、原点であるギャグ要素やコメディ色を強めに戻したハートフルな作風が描かれ、2017年冬に連載終了。

2016年、米国MoPOP「SF&ファンタジーの殿堂」受賞。

2017年、単行本世界累計2億部突破。

2018年、米国アイズナー賞「漫画家の殿堂(The Will Eisner Award Hall of Fame)」受賞。

2019年、第46回アングレーム国際漫画祭グランプリ受賞。

2019年『週刊少年サンデー』にて「MAO」の連載を開始。

これまで『うる星やつら』、『めぞん一刻』、『らんま1/2』、『犬夜叉』、『境界のRINNE』と、高橋の定期連載作品は全てTVアニメ化されている。

また、不定期連載中の『人魚シリーズ』と『高橋留美子劇場』のシリーズ作品も深夜枠でアニメ化、同じく不定期連載を経て完結した『1ポンドの福音』もOVA化された。

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