アシックス(ASICS)創業者、鬼塚喜八郎:新入社員に向けた5か条

アシックス(ASICS)創業者、鬼塚喜八郎:新入社員に向けた5か条

新入社員に向けた5か条

鬼塚喜八郎/アシックス(ASICS)創業者

 

 

鬼塚喜八郎は、毎年新入社員を前にして、古代から近代へと引き継がれたスポーツマン精神の5か条を、いつも声高らかに読み上げていた。

 

(第1条)スポーツマンは、常にルールを守り、仲間に対して不信な行動をしない

(第2条)スポーツマンは、礼儀を重んじフェアプレーの精神に徹し、いかなる相手もあなどらず、たじろがず、威張らず、不正を憎み、正々堂々と尋常に勝負する

(第3条)スポーツマンは、絶えず自己のベストを尽くし、最後まで戦う

(第4条)スポーツマンは、チームの中の一員として時には犠牲的精神を発揮し、チームが最高の勝利を得るために闘わなければならない。そこに信頼する良き友を得る。

(第5条)スポーツマンは常に健康に留意し、絶えず練習の体験を積み重ね、人間能力の限界を拡大し、いついかなる時でもタイミング良く全力を発揮する習慣を養うことが必要である。

 

戦後の混乱期、スポーツの意味することが、これからの生活、社会、ビジネスなどのあらゆる場面に必要になると感じた鬼塚喜八郎。

人間の価値基準や行動基準が変わり、人々が穏やかな気持ちで過ごすことが困難になりつつある昨今、ここで定義されているスポーツマンは、確かに、現代を生きるすべての人の道標になると思う。

そして、ここに新たな条項をひとつ、加えたい。

 

(第6条)スポーツマンは、ころんだら、起きればよい。失敗しても成功するまでやればよい。今一度、あなた自身の人生に置き換えて読んでほしい

 

ころんだら、起きればよい。鬼塚喜八郎「失敗の履歴書」(2007年11月22日付、日本経済新聞、第12面)より

 

 

 

鬼塚喜八郎とは?

 

 

鬼塚喜八郎。アシックスの創業者。旧名坂口。鳥取県出身。
1949年にアシックスの前身,鬼塚商会を設立。

「オニツカタイガー」ブランドのシューズを国内有数のスポーツシューズに育てた。

1956年にはメルボルンオリンピック日本選手団用のトレーニングシューズとして正式採用。東京オリンピックでは鬼塚の靴を履いた選手が体操、レスリング、バレーボール、マラソンなどの競技で合計46個のメダルを獲得し、スポーツブランドとしての認知を高める。

1977年に同業 2社と合併し,総合スポーツ用品メーカー「アシックス」を設立,初代社長となる。
スポーツシューズの国内トップメーカーとしての礎を築いた。

業界団体のスポーツ産業団体連合会会長,日本バスケットボール協会会長などを歴任。
1983年オーストリア共和国功労勲章大銀章,1988年勲三等瑞宝章,2001年オリンピック・オーダー銀章を受章。

 

鬼塚名におけるエピソードがこちら。

鬼塚喜八郎の旧姓は坂口。実家は田舎の村長をしている家柄でした。
昭和11年、旧制鳥取第一中学校を卒業後に、軍隊に入ります。

鬼塚喜一郎氏(当時:坂口姓)の戦友に上田という中尉がいました。
鬼塚は、その上田中尉と共にビルマ(現:ミャンマー)作戦に行く予定だったが、鬼塚だけが日本の留守部隊に残ることとなった。

そんな折、鬼塚は戦友の上田中尉から頼みごとをされた。神戸に身寄りのない鬼塚という老夫婦の面倒を見てほしいと。
鬼塚は老夫婦の面倒を一生みてやると、約束し、戦友の上田中尉は、現地指揮中に戦死。

鬼塚は旧姓坂口名を捨て、鬼塚姓となり鬼塚老夫婦を養うことを決断したそうです。

 

なお、アシックス(ASICS)の社名の由来は、古代ローマの作家ユウェナリスが唱えた「健全なる精神は健全なる身体にこそ宿るべし」(Mens Sana in Corpore Sano)」“アニマ・サーナ・イン・コルポレ・サーノ”という言葉のMens(才知)より動的な意味を持つAnima(生命)に置き換え、その頭文字、A、 S、I、C、Sを並べたものです。

 

主な著書に「念じ、祈り、貫く 求める心が成功を導く」「アシックス鬼塚喜八郎の「経営指南」 創業50年。難路かく越えり」「転んだら起きればいい! わが体験的企業経営論」「私心がないから皆が活きる アシックス・世界を駆け抜けるの記」などがあります。

 

 

厳選!鬼塚喜八郎の珠玉名言

 

 

私がスポーツシューズのメーカーを起こしたのは、青少年の育成に役立つ仕事がしたいと思ったからです。
終戦後、戦友との約束で面倒を見ることになった老夫婦の養子になり、神戸でサラリーマン生活に入ったものの、私利私欲に走る社長に我慢ならず、辞表を叩きつけてしまった。この先どうするか。教育委員会で働く知人に相談すると「それなら運動靴を作れ」とアドバイスしてくれた。スポーツマンはルールを守り、礼を重んじ、ベストを尽くして戦い、チームワークに徹し、目標達成に向けて自己啓発に努める。スポーツマンシップとは何かという彼の説明に感動した私は、残りの人生を懸けて、青少年のためにいいシューズを作ろうと決意したのです。

 

 

「創業は易く、守成は難し」ということわざがありますが、困難に見舞われたときこそ志が問われるのです。

 

 

ベンチャーベンチャーって言うけど、ただの金儲けのベンチャーじゃダメ。自分が起こすベンチャーによって、社会がどんな恩恵を受けるのか。それが非常に大事。間違った考え方では必ず失敗する。人が協力しなくなる。人も助けてくれなくなる。目標を正しい方向に定めて、自分の全知全能を使い、多くの人を幸せにする道を選ぶことです。

 

 

志を持った人は、土壇場に強い。困難にぶち当たっても倒れない。

 

 

僕自身は、「オニツカ式キリモミ商法」って言ってるんだけど、市場の中のある一点に集中して、掘り下げていく。ただ一つだけでいい。その一点に集中して、その消費者に合う商品を開発していくんです。あれもこれもでは、大企業には勝てない。バスケットシューズだったら、バスケットシューズだけ。そこに一点集中する。これがベンチャーの成功の決め手です。

 

 

弱肉強食の時代に生き残ろうと思うのなら、自己の特色を出して強者に対抗していくほかない。

 

 

命まで取られへん。駄目ならやり直せばいい。

 

 

持てる力を一点に集中させれば、必ず穴があく。

 

 

 

 



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