サイバーエージェント創業者、藤田晋:サイバーエージェントが終身雇用を実施する理由とは?

サイバーエージェント創業者、藤田晋:サイバーエージェントが終身雇用を実施する理由とは?

サイバーエージェントが終身雇用を実施する理由とは?

藤田晋/サイバーエージェント創業者

 

 

ベンチャーらしくないとよく言われるのだが、我が社は終身雇用を掲げている。

今いる社員を大事にして育てることが、結局は中長期の成長を確実なものにするという思いがあるからだ。

 

 

我が社もネットバブル崩壊後に、離職率がかなり高まった時期があった。

そのころから「これではダメだ」と悟って社員の帰属意識を高める方針に転じた。

一番効いたのは、私が発した「社員を大事にする」というメッセージだった。

「有能な社員が、長期にわたって活躍できる終身雇用を目指す」ということをあえて明言したことで、社内の雰囲気はガラリと変わった。

トップや経営陣がこのようなメッセージを出すと社員も、「我々も会社が好きだし、大事だ」となる。

特に日本企業は、このようにして醸成される組織力に強みがあるのは間違いないだろう。

 

 

藤田晋とは?

 

 

サイバーエージェントの創業者。

福井県出身。

 

青山学院大学経営学部卒業後、人材紹介・派遣事業の株式会社インテリジェンスに入社。

その後、インテリジェンスの出資を受けサイバーエージェントを設立。

 

同社を2000年東証マザーズに上場させ、2014年東証一部に昇格させている。

 

主な著書に『渋谷ではたらく社長の告白』『ジャパニーズ・ドリーム』『藤田晋の仕事学 自己成長を促す77の新セオリー』『藤田晋の成長論』『渋谷ではたらく社長の成功ノート』『起業ってこうなんだ(共著)』など。

 

 

厳選!藤田晋の珠玉名言

 

 

ネットベンチャー企業である弊社は、前例のまったくない世界でビジネスを展開しています。前例のない世界では、斬新で優れた事業アイデアを発想できるかどうかが勝負を分けるため、クリエイティビティにあふれた社員の存在が不可欠です。弊社のような企業にとって、上にいい顔をするだめに部下のアイデアを利用したり、保身のために部下の優れたアイデアを潰したりするモラルに欠けた管理職の存在は最悪です。

 

 

サイバーエージェントの歩みは決して平坦ではありませんでした。東証マザーズに上場した直後にネットバブルが崩壊。先行投資がかさみ赤字の連続。業績悪化につれて社員の人間関係も悪化し、離職率が異様に高い状態が続きました。このままではまずい。会社を根本的に変えなければと、危機に際して私が参考にしたのは、日本的経営でした。

 

 

自己顕示欲と謙虚さのバランスが重要。もしあなたが上司で、部下が、「次の大型案件をぜひ私にやらせてください! 必ず成功させてみせます!」と言ってきたらどう思いますか。「現実が見えていないのではないか」と心配になりませんか。では、「力不足で心配をおかけすることになるかもしれませんが、それでも挑戦したいんです!」と言われたらどうでしょう。「そこまでの覚悟があるなら」と、任せてみようという気持ちになりませんか。

 

飲み会で「羽目を外すな」と注意をするのは簡単ですが、そんな当たり前のことを言っても効果は期待できそうにない。考えた結果、羽目を外しそうな社員旅行や大勢の飲み会がある時は、酒癖の悪い人に「風紀委員のワッペン」を配ることにしました。率先して騒いだりする「トラブルの起点」になりそうな人は、あらかじめ風紀委員に指名して「取り締まる側」にしてしまう。起点そのものを事前に潰す策です。これは大きな効果がありました。

 

 

「計画性」と「気合い」は、どちらが欠けてもううまくいかない。計画は予想外の事態で変更を余儀なくされますし、気合いだけでがむしゃらに働いても、効率的に計画性を持って動かなければ時間内に終わりません。多くの人は、どちらか一方に偏ってしまう傾向がありますが、職種や仕事の内容によって、臨機応変にその比重を変えられる人が最も優秀だと言えます。

 

 

ほどよく空気を読む力を持ちながら、そのうえで置かれた状況に応じて「あえて読まない」選択をできるかどうか。それができるようになれば、ビジネスパーソンとして、一つ上のステージに上がれると思います。

 

 

新規事業を成功させるには、「小さく産んで大きく育てる」を意識して実行することが大切です。時折、未知や不慣れな分野であるにもかかわらず、多くの予算と人員が必要となる「巨大プロジェクト」を企画する人がいますが、それは多くの場合、机上の空論となり、失敗します。新規事業に関わる予算や人が多ければ多いほど、立ち上げ時に襲い掛かる様々な問題に柔軟に対応できなくなるからです。

 

 

子供向けプログラミング講座CA Tech Kids始めた理由は、日本の教育に対する問題意識が根底にあります。僕たち現場からすれば、圧倒的にプログラマーが足りないのに、なぜかどこもかしこも「英語人材」しか叫ばない。いいプログラマーが育てば、競争力のあるサービスを生み出し、そして新たな雇用を生み出します。今、明らかに需給のバランスが悪い。むしろ英語人材の方が使い道に困りますよ(笑)。

 

 

成長の秘訣と呼べるものはありませんが、挙げるとすれば2つ。会社の調子がいい時に経営者自身が尊大にならないこと、そして問題を先送りにしないで早めに手を打つことです。

 

 

先月、「捨てる会議」という名の会議をやりました。これまで実施してきた数多くの事業や制度を1度見直し、「やめるべきもの」を決めようというものです。

 

 

短期勝負に勝つために必要なことは大きく2つある。1つ目は、「飢餓感と言っていいほどの勝ちたいという気持ちを強く持つこと」。2つ目は「実際の自分たちの実力を臆病なほど冷静に見極めること」。

 

 

当社には2年に1度、8人の役員のうち1~3人が交代する「CA8」という制度があります。当社は役員の年齢がとても若く、それぞれが長く役員に留まる可能性がある。役員になると「上がり」の意識が出てきても不思議ではありません。役員にとっては厳しい制度かもしれませんが、上に立つ役員こそ、誰より自分に厳しく仕事をしてもらうために、CA8を作りました。下の人間にとっても、2年に1度、役員になれるチャンスが巡ってくるわけですから、上層部のポストに閉塞感を感じることなく希望を持てる制度です。

 

 

よく、「仕事の優先順位をつけ、効率的に仕事をしろ」と言われますが、最初は、何を先にやって何を後回しにしたらいいかなんてわかりませんよね。だから、とにかく量をこなして経験を積むしかないんですよ。

 

 

仕事とは、無理や矛盾、理不尽と向き合って進めていくもの。困難が立ちはだかるのは当たり前です。そんな時、現場で必死に泥臭く、努力を続けられるか。それが実は一番大事なことなのです。

 

 

「ネット業界は若い人が活躍する」とよく言われますが、年齢の問題ではないと思っています。「変化に対応できる人」が活躍するだけです。

 

 

特に勝負を決める大事な局面では、「周りに何を言われようとも構わない。後から正しい選択だったと言わせてみせる!」ぐらいの気概が必要。

 

 

若い人でも、「まだ早い」なんてことは全然なくて、必死になって頑張れば、なんとかなるんです。逆に、成長してから社長になろうと思っていたら、いつまでたってもなれません。

 

 



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